ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ─オーバーゲーム─8話UP♪ ( No.89 )
日時: 2010/10/16 12:07
名前: 鷹の目 (ID: ze9J8nGv)

【08】


C棟 ‘炎の間’


「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」


「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」


「た、たすけ・・・・あぁぁぁぁ!!!!!」


志村にC棟詮索を頼まれていた5人1組のチームが、一瞬で炎の波に飲み込まれた。
更に、その前を歩いていた5人1組のチームも一瞬で飲み込む。
数秒足らずで、計10人の生徒が虫の様に死んでしまった。


空調調整室に逃げ込んだ千草、未子、暗助の3人は猛暑に襲われていた。
部屋の中には空調を調整する機械が壁に設置され、不気味な機械音を鳴らし続けている。

「だ、大丈夫みんな?」

「私は大丈夫です・・・・・・」

「もう駄目だよ・・・絶対死んじゃうよ・・・・・」

唯一の男子生徒である暗助は、半泣きになりながら蹲る。
先ほど2人の人間の死を見て、暗助の心は今にも崩れ落ちそうだった。


「しっかりして。早く、前に進みましょう。」


千草はそんな暗助に優しく声をかけ、立ち上がってドアを開けた。
炎の波が通過した廊下や壁は、ほとんど煤のせいで黒くなり、謎の異臭が漂っている。

「未子ちゃん、暗助くん。亡くなった2人の分もクリアするよ。」

「はい!!」

「うぅ・・・・」

暗助はため息をつき、未子はガッツポーズを見せて頷く。
そして、3人はB棟へと目指そうと渡り廊下に向かった。
だがこの時、3人に思いもよらぬ事態が起こった。


「え・・・・・・」


3人が渡り廊下の場所まで来ると、なぜか上がっていた筈のシャッターが閉じていた。
そして、この時千草は理解した。
B棟からの水の流れはいつの間にか止まっていた。つまり、シャッターは随分前に降りていたのだ。

「嘘・・・・でしょ・・・・・」

「あ、あぁ・・・・そんな・・・やだ・・・」

暗助は膝から崩れ落ち、シャッターに近づく。
3人はシャッターが手動で開くことなど知る由もない。
暗助は大声で泣き叫び、壁にもたれかかる。
その時だった。


「冷たっ!!!」


壁に寄りかかっていた暗助の背中に、何か冷たい物が触れた。
暗助は不審に思い、上を見上げる。すると、そこには一本の通気口の出入り口があった。
そう、FIRST STAGEで京介達が使ったB棟とC棟を繋ぐ隠された道だ。


「あ・・・やった・・・ははは・・・やった!!!」


暗助は通気口を塞ぐ鉄板を剥がし、薄暗い通気口の先を見つめる。
千草と未子は、暗助の活躍に笑顔で答えた。

「やった!!本城君、すごいよ!!!」

「暗助くん、よくやったわ!!」

2人に褒められた暗助は顔を赤らめ、思わず笑みがこぼれた。
3人は急いで通気口の中へと入り、B棟を目指したのだった。


────────


C棟 5階


そんな千草達とは違い、ここでは緊急事態が起こっていた。
明日香の側近である筈の瑠夏は、椅子を持って明日香に近づく。

「あ、あなた!!そんなことやってただで済むと思わないで!!私を誰だと思ってるの!?」

明日香は綺麗なパーマヘアーを靡かせ、後ろへと一気に下がる。
だが、瑠夏は明日香の言葉も聞かずに近づいてくる。

「私はあんたの奴隷じゃないのよ。朝場家の代表として、あんたを殺すわ。木上院明日香。」

「瑠夏・・・止めて・・・・・・」

明日香は壁にぶつかり、そのままズルズルと床に座り込む。
瑠夏は椅子を持ちなおして、振り上げた。



「待って!!!止めて!!!!!」







「死ね。」







そして、椅子を振り下ろした。