ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ─オーバーゲーム─8話UP♪ ( No.90 )
- 日時: 2010/10/16 18:29
- 名前: 鷹の目 (ID: ze9J8nGv)
【09】
「あぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
瑠夏は奇声を発しながら、椅子を振り下ろした。
しかし、間一髪のところで明日香は横に回避して立ち上がる。
瑠夏の目は完全にイっており、明日香は呆れた表情で瑠夏を見つめる。
「瑠夏、あなたたちの家系は生まれながらクズなのよ。弱者は強者に勝てない。」
明日香はそう言うと、廊下に飛び出す。
瑠夏は鬼の形相で明日香を睨みつけると、椅子を持ちなおして奇声をあげた。
「ふざけんなぁぁぁぁ!!!!!!!」
「はいじゃぁ〜ね〜♪」
「!?」
瑠夏が教室を飛び出した瞬間、突如横から謎の男子生徒が顔面にパンチを喰らわした。
瑠夏は派手に床に倒れ、椅子は音をあげて廊下の上を転がった。
瑠夏は頭を強打して、意識が朦朧としている。
「女の子が椅子を振り回しちゃ物騒だろ?」
瑠夏は朦朧とする意識の中で上を見上げると、そこには樋口太陽が立っていた。
瑠夏はこの状況を理解することができない。
「樋口、行くわよ。瑠夏、あなたにはもう用はない。」
明日香はそう言うと、太陽と共にその場から歩き去ってしまった。
────────
「くそ・・・・」
瑠夏は拳を床に叩きつけ、目から涙をこぼした。
復讐どころか、惨敗してしまい、瑠夏は自分の弱さを悔んだ。
「パパ・・・ママ・・・ごめんね。」
瑠夏がつぶやいた瞬間だった。
瑠夏の目の前から、炎の波が迫ってくる。
立ち上がれる気力等残っていない瑠夏は、そのまま目を閉じる。
すると、暗闇の中に笑顔で手を振っている両親の姿が見えた。
「パパ!!ママ!!!」
瑠夏は思わず走りだし、両親の元へ向かうとした。
だがその瞬間に、瑠夏の意識はプツリ消えた。
───────
B棟 ‘水の間’ 4階
京介は3階まで溜まった水のせいで身動きが取れずにいた。
4階にある2−7組の教室に入り、天井を見上げながら色々と考えている。
「洋一郎・・・アルジー・・・・・」
2人は2階と3階を詮索していた。
しかし、その階は水で水没してしまっている。
2人の行方は消えていたのだ。
更に、2階にあるシャッターまで行く方法が見つからない。
潜ってシャッターまで到達したとしても、開けようがないのであれば、そのまま溺死することになる。
「どうすればいいんだ・・・・」
京介が頭を抱え込んだその時だった。
「京介!!!」
京介は聞き覚えのある声に驚き、教室のドアを見た。
するとそこには、思いもしなかった人間がいた。
「志村先生に宮本先生!?」
ずぶ濡れとなっている2人は、息を荒げながら教室に入った。
すると、後ろから玲奈を抱えた当真と洋一郎、アルジー、千葉菜々美がいた。
京介は洋一郎とアルジーを見ると、笑顔で2人に駆け寄った。
「大丈夫!?」
「俺を誰と思ってんだよ。1年生ナンバー1の不漁だぞ。」
「大丈夫デスよ。」
洋一郎とアルジーも笑顔になり、3人は顔を合して安堵の息を漏らした。
京介は志村の方を向き、首を傾げながら質問する。
「先生方はどうして・・・・」
「色々あってな・・・・君たちを追う途中にC棟のシャッターが閉じて数人がC棟に・・・・・」
志村はため息をつき、当真は玲奈をそっと床に寝かせる。
宮本は椅子に腰をかけ、菜々美は床にズルズルと座りこむ。
京介、洋一郎、アルジー、当真、志村、宮本、菜々美、玲奈。
8人は、一時の休憩を過ごすのであった。