ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ─オーバーゲーム─9話UP♪ ( No.95 )
- 日時: 2010/10/17 19:48
- 名前: 鷹の目 (ID: ze9J8nGv)
【10】
B棟 ‘水の間’ 4階
『残り時間が2時間となりました。これより、水の間にシャークを放ちます。』
放送の声と共に、京介は目を覚ました。
いつの間にか寝てしまっており、目が覚めたら全員がスピーカーを見て呆然としている。
「シャークって・・・・なんだ?」
「サメのことか?」
洋一郎の些細な言葉に、全員の顔の色が真っ青となる。
今サメが放たれたりすれば、100パーセントの確率でシャッターまで辿りつくことはできない。
菜々美、宮本、洋一郎は床にしゃがみ込み、当真と志村は大きなため息をついた。
アルジーも頭を抱え込み、京介は立ちあがって、意識を失って横になっている玲奈の元へ行く。
「玲奈、一体どうすればいいんだ?」
京介が玲奈に向かって呟いた瞬間だった。
『B棟‘水の間’で立ち往生している諸君、シャッターが開く方法を知りたいか?』
突然スピーカーから、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
当真はスピーカーを見て、その声の主を思い出す。
「シャインとか言う・・・ふざけた仮面した奴だな。」
『覚えていただけていて光栄です。ヒントが欲しければ、1人が脱落しなければなりません。』
「は?」
全員はその言葉を聞いて唖然となったが、志村は冷静に考えていた。
「・・・・俺が脱落する。ゲームオーバーになる。」
志村は手をあげて、前へと進んだ。
だが、その時ある人物が志村を止めた。
「私が・・・・私がゲームオーバーになります!!!!」
大きな声で、千葉菜々美は手を上げて言った。
志村は勿論、全員は驚きのあまり言葉を失った。
志村は菜々美の方を掴み、菜々美の目を見る。
「何言ってんだ!!ふざけるな!!!」
「決着付けるの!!!あいつと・・・・」
菜々美の意味不明な言葉に、志村は首を傾げる。
その言葉を理解したのは、京介だけであった。
実は、京介は菜々美にあることを伝えていたのだ。
「私は平田四門と決着をつける。私を下っ端扱いしたあいつに、人生のピリオドをうつの。」
菜々美はそう言うと、振り向いてスピーカーに向かって言った。
「私が脱落するわ!!」
『了解しました。それでは、千葉菜々美さん。ゲームオーバーとなりました。皆様にはヒントを与えます』
京介は菜々美の顔を見る。
菜々美は首を大きく縦に振り、満面の笑みを見せた。
『ヒントは4階の奥、化学実験準備室にあります。それでは、引き続き頑張ってください。』
シャインのその言葉と同時に、放送の電源が切れた。
志村は菜々美を見ると、大きく頭を下げる。
「すまない・・・。大人の俺が、身代わりになれなくて・・・・」
「私が勝手に決めたことです。それでは、私はここまでです。」
菜々美はそう言うと、教室のドアを開けた。
そして、京介の方を振り向いて笑顔で言った。
「必ず、クリアしてね。」
菜々美の言葉に京介は頷くと、菜々美はそのまま出て行った。
─────────
B棟 5階
菜々美は京介達と別れ、閑散とした5階に上がってきた。
廊下を見渡すと、床に血の跡が残っていた。
血の跡は5階の奥、第2音楽室に続いていた。
菜々美は駆け足で音楽室の前まで来ると、ドアに付着している血を見る。
「平田・・・・ここね。」
菜々美は一気にドアを開け、そのまま音楽室に入る。
すると、壁に寄りかかっている四門の姿があった。
四門は引きちぎったカーテンで身を覆い、なぜか顔を見せようとしない。
「菜々美か・・・・・」
「あなたを殺す。下っ端みたいに扱いやがって・・・歩夢の分も晴らすわ。」
菜々美はそう言うと、近くにあったパイプ椅子を持って、四門の元へ走りだした。