ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 瞳を、開けて——————? ( No.8 )
日時: 2010/09/25 22:25
名前: 十六夜 ◆aUgcx1Sc9Q (ID: COldU63y)

第一話 日常の一ピース

「奈央姉っ! 威風兄さん! 朝だよ、起きてってば〜!!」

朝の日差しが容赦なく眼光を刺している、気がした。まぁ簡単に言うと……眩しいって言う訳なんだけど。
私、奈央姉と呼ばれた人物は眩しさに目をしぼめつつ身体を起こし日の光を一身に浴びた。
私を起こした人物—櫻瀬憂は元気そうに私の双子の兄であり憂の兄の威風の上を飛び跳ねている。
当然と言えば当然だが、威風兄さんは半分……いや凄い死に掛けていた。

「ちょっ、憂おまっ……ぐほっ!」

「兄さんが悪いんだよ〜☆ もうこれで5日間僕が朝ご飯作ったんだよ? あ、奈央姉ご飯机にあるよ」

「ん? あぁ、ありがと」

憂と威風兄さんを尻目に私は温かい珈琲とトーストが置いてある多分朝ご飯用のものを食べ始める。
……味はまぁ、良好と言ったところであろうか。トーストは焼くだけなので味の評価の仕様は無いけど。

おっと、紹介を忘れていたっけ。私は雪上奈央。高校1年生の吹奏楽部で威風兄さんの双子の妹。
兄の名は雪上威風で高校1年生の帰宅部。私とは双子でこちらが兄。クールに見えて兄らしい奴。
弟は先ほど説明した通り櫻瀬憂。中学2年生の剣道部所属で1人だけ苗字が違うのは腹違いの為です。
……ここまで話すと気付くかもしれないけど私達の家には親が居ない。兄弟だけでの3人暮らしをしてる。
幸いとも言うべきか優しい叔父叔母から援助も受けていて裕福でも無いが貧乏にもなっていない。
そんなある意味平凡じゃないけど平凡そうな3人での生活を過ごしてます。

「兄さん、憂。学校遅れるんじゃない?」

「ん? あ、そうだな……憂お前覚えてろよ」

威風兄さんは肩を叩きながら憂を睨んでいた。憂は我関とせずと言う表情で朝ご飯を食べている。
そんな憂を気にする事無く私達は制服へ着替え歯磨きを済ますと急いで家を出た。勿論(?)、憂も一緒で。
ちなみに3人とも電車通学なので行きは途中まで一緒になる。その為兄弟三人で通学するのが常となった。

「あ。英語の宿題終わってなったかなぁ〜?」

「え、終わってないの? 憂しっかりしなよ。来年受験でしょ?」

早歩きをしながら憂は鞄の中をゴソゴソと探りつつ不思議そうに話していた。
そんな憂に溜息を着きつつ私は憂に向かって肩をすくめる。これまた憂は気にしていないけれど。

「おい、二人とも。さっさと行くぞ」

「「えっ、待って(よぉ〜!)!!」」

私と憂は早足どころか既に走っている憂兄さんを急いで追う。
そして二人で威風兄さんへの侮辱っぽいBGMを送りつつ威風兄さんの足が緩まるのを待っていた。
日常ってこう言う平和な事を言うのかと思いつつ。





「…………?」

「奈央姉? どしたのー?」





「ううん、何でも……ない」





後ろから視線を感じた、気がした。