ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 瞳を、開けて——————? ( No.12 )
- 日時: 2010/10/02 21:29
- 名前: 十六夜 ◆aUgcx1Sc9Q (ID: COldU63y)
第二話番外編 あぁ、待っておくれ
人間とは、面白いものだ。
ある少女を見ていて、思った。
(似ている……)
全てを諦めた様な、傷ついて傷ついて傷ついてもう傷つきたくないと思っている哀しい瞳。
自分にそっくりな瞳を彼女はしていたのだ。
あぁ、何たる興奮なのだろうかと内心歓喜している自分を制して姿を隠して彼女を尾行している。
見れば見るほど自分の瞳にそっくりな彼女の瞳が見えてまたも興奮しそうになっていた。
(何もかも信じていない、あの瞳)
人なのに、あんな瞳をしている奴もいるのか。
私を平気で傷つける人間でも、あんな瞳をしている奴がいるのか。
人なのに、人間なのに変わった奴だ。
でも、どうせ人間なんだから近づくだけ無駄だと思っていた。けれど、それなのに彼女を尾行している。
理由は分からない。と言うより言葉で語れない。興奮からきているのかあるいは単なる気まぐれなのか。
(自分みたいな、瞳……)
暫くすると、彼女は歩みを止めた。私は彼女をジッと見つめてみる。
すると彼女はいきなりハッとして冷や汗を掻く。
辺りを不思議そうにキョロキョロを見回すと安心した風に溜息を着いて視線を元の位置に戻す。
彼女は、私の視線に気づいたのだろうか。
じゃあ、もしや彼女には…………
私の存在が察知できるのか…………?
「面白い」
思わず声に出して次の瞬間、私は狂ったように笑い出した。
けれど周りの者は不思議に思いも不快に思いもしない。
え? 何でって? そんなの簡単。
周りの者は私の存在を察知できないからだ。
誰も、私の姿も声も存在も確認できない。
だが、極稀に私の存在を確認できる者がいるらしい。
「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははきゃはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっ!!!」
狂ったような、五月蝿いを通り越して恐ろしい笑い声すら誰も気付きはしなかった。