ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 瞳を、開けて——————? オリキャラ募集中です ( No.20 )
日時: 2010/10/15 21:27
名前: 浅葱 ◆jnintUZIrM (ID: m26sMeyj)
参照: http://PCが変わったので名前も変えてみました← 十六夜です

第三話 声 後編

「おはよう、二人とも」
「よっ! 雪上に鷹田!!」

「「おはよう(……)(〜♪)」」

暫く彩の話を聞いていると後ろから声をかけられた。彩の話を聞かずに済んだと内心感謝している。
そんな恩人達は瀬戸 匡迩と小山 凛子。二人とも明るく、リーダーシップのある頼れる人達。
二人が一緒に登校しているのも珍しいなぁ……とか思ったけどとりあえずは放っておく事にした。


すると瀬戸が不思議そうに私の横を見ているとこんな発言をする。

「あれ? ……威風どうしたんだよ」

「え? あぁ、置いてかれたっぽい」

私は苦笑しながら頭を掻きつつ瀬戸がこちらを見ていた理由が分かって少しすっきりした爽快感を味わう。
双子だし、朝良く一緒に行っているのを見ているからたまたま一人居ないのが不思議だったのか……
まぁ、いつも居る者が居なくなると妙にぎこちないと言うのは良くあるしね、と私は苦笑した。


「あ、そうそう! 皆音楽って好き? 近々ジャズのコンサートがあってさ〜……」

……お喋りな友人のお陰で私はまたも思考を中断させられた。いや、いつもの事なのだけれど。
彩のジャズ好き度は半端無い。部屋に張ってあるポスターは大抵ジャズの公演予定ポスターだし。
その上机には彩の担当している楽器、テナーサックスのフィギュアが置いてあって綺麗に磨かれている。

……これだけ言えば彩がジャズ(サックス)オタクと言うのは良く分かるな。とまた私は苦笑した。






すると、どくん、と何かが波打つ。







《人、間……》


どくん。


(……え? 今、後ろから声が……?)



どくん。


(彩……? いや、違う。瀬戸でも凛子ちゃんでも無い)


どくん。



(じゃあ、誰……?)



「……奈央ちゃん? 大丈夫?」

「え? あぁ、大丈夫、平気平気」

ふと気付けば凛子ちゃんが不思議そうな表情で私を見つめている。何処か心配そうな顔でもあった。
私は苦笑しながら曖昧に返事をしつつ冷や汗を拭う。
ふと自分の後方から、声が聞こえた気がしたので。




どくん、どくん。


心臓の高鳴りはまだ止まらない。未だ緊張しろ、とでも言っている風だった。
一体何に緊張しろと……? 私はちょっと辺りをキョロキョロと見回す。気になる物何て何も無い。
多分、気のせいだろう……自分にそう、言い聞かせる。そう、きっと気のせい。疲れているだけ……






《人の癖に、面白い……あはははははっ》



(人の、癖に……? 誰? 誰なの?)


また、声がした。しかも笑い声まで聞こえている。……何、この声。一体何なんだ……?
考えている暇も無くさっさと学校に行きつつ頭の中は声の事で一杯。別の意味で考える暇などは無い。






どくん、どくん、どくん。





それでも心臓は、高鳴っていた。