ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 小説[最強の男たち] ( No.10 )
- 日時: 2010/09/27 23:02
- 名前: ほすとさむらい ◆hLYmfkI/ok (ID: DxRBq1FF)
第七話[天才ダンサー]
——————ズクズクバンバンズクズクバンバン
————バンバンバンバンバンバン
?「いえーい!」
———ババンババン!バンバガバンバン!
?「あざっす!」
ザーっと歓声が沸き起こる。公園の一角で踊る彼はここらじゃ知れたダンサーだ。
これほどの腕前なら、プロデビューできるはずなのに、スカウトされても出ようとしない。
何千万という金額を突き付けられようと行く素振りすら見せない。金のためにダンスを踊っているわけではないのだ。
ファンがいなくなったのを確認し、チャラチャラに飾られたラジカセを指だけ露出した手袋で抱える。
ダボダボの緑色のランニングに、コシパンした短パン、ピンク色のハイカットスニーカー。
身長は高いほうだろう。少し焼けた顔にモジャっとなった癖毛。
彼はそうしていつもいろいろな公園に現れては帰る。たびたび取材のものやスカウトマンが来るがそんなものは振り払う。
彼は純粋にダンスが楽しみたいのだ。
?「ふう〜」
息を漏らす。
コトコト・・・・
山口「まだ見つからないらしいな。やつらは」
橋本「そうですねー。しぶといですね」
橋本「あっ!あれって田中雄治じゃないですか?」
山口「誰だそれ?」
橋本「あれですよ!いろいろな公園でたびたび踊ってる天才ダンサー!」
山口「・・・へー」
橋本「あの!あの!」
橋本はダンサーに声をかける。
田中「はい?」
橋本「あの・・・田中雄治さんですよね!?」
田中「あ・・・はいそうっす」
橋本「警察なんですけど」
田中「えっ!なにかしましたっけ!」
橋本「いえ、写メ撮りましょうよ!」
山口「・・・やれやれ・・・」
橋本「山口さんも!」
山口「俺は・・いい・・・」
田中「じゃあ撮りますか」
橋本「はい!」
カシャ!
山口「ダンサーなんて興味あるのか?」
橋本「ないですけど、カッコいいじゃないですか!」
山口「・・・・・」
山口「まてよ・・・田中雄治って・・・・」
橋本「どうかしたんですか・・・?」
山口「そいつの写メをほしがっていたやつがいた・・・500万で買うとか言ってたな・・・」
橋本「えっ!!!!」
山口「言ってみるか!?」
橋本「はいっ!」
山口に案内されてきたのは古惚けた雑貨屋。薄汚く、蜘蛛の巣は大量に張り巡らされていた。
山口「泰三ー!」
泰三「はーい!」
中から出てきたのはオールバックの中年男性だった。
汚いエプロンのようなものを下げていた。
橋本「こんにちは」
泰三「こんにちは」
山口「確か田中雄三の写真500万で買うっていってたな?」
泰三「ああ。最近のじゃないとダメだぞ?手に入れたのか!?」
山口「ああ。さっきな」
泰三「なんだと!?」
橋本「俺が写ってますけど・・・」
泰三「そんなくらい編集して消すよ!」
山口「何に使うつもりだ」
泰三「まあちょっとな・・・」
山口「500万はくれるんだろうな」
泰三「ああ。ちょっと待っとけ!」
泰三は銀行へ向かうなり500万を引き出してきた。
山口「・・・・」
橋本「ではこれを・・・」
橋本は泰三に写メを送った。
泰三「よし!じゃあこれを」
泰三は500万を差し出した。
橋本「こんなものを・・・いいんですか!?」
泰三「きにすんなって!」
山口「・・・」
橋本「ほんとに・・・なんと言えばいいのかw」
山口「とにかくタクシーでも乗って銀行に振り込むか」
橋本「そうですね。半分づつということで」
山口「は?お前は100万だよ!」
橋本「そんなー」
山口「冗談さw200万な!」
橋本「それじゃ割に合わないけど・・まあいいです!」
二人はタクシーを拾うなり銀行へ向かった。
泰三「はい、はい、写真を手に入れました。情報によると○○公園の近くで、はい、はい、分かりました」
———————謎のダンサー、泰三という男。謎がまた謎を呼ぶ・・・・
続く