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Re: Potential〜最強の男たち〜 オリキャラ募集中! ( No.146 )
日時: 2010/12/16 18:58
名前: ほすとさむらい ◆hLYmfkI/ok (ID: DxRBq1FF)
参照: http://www.doumori.com/bbs_talk/show.php?kiji_id

「大丈夫・・・だよな」
10名のスーツ姿の男達に囲まれ、一人の中年のオヤジが一声漏らす。
「はい。きっと・・・戻ってきますよ」
10名の中の一人が言った。
そのとき、高い屋上で優しい一陣の風が吹いた。

—第四章—
第一話
   [始まりは中国の上海から]

「ふう・・・・」
強い日光を手で防ぎながら身長の高い男、和泉が溜息をついた。
「ついたかー」
隣で隼が言う。
朝10時に乗り込んだ中国行きの便は夕方の4時についた。
「こんにちは」
前方からイントネーションのおかしい日本語を話す女性が近づいてきた。
「誰だ?」
近藤は足立に訊く。
「ああ。言い忘れてたな。通訳の李紅香さんだ」
足立は全員に言った。
李は上品に笑い、手招きした。
「まずはみなさんが泊まるホテルまで案内させて頂きます」
李は歩きながら言う。
黒髪でピチピチのスーツに薄くも濃くも化粧。
それが李の第一印象であった。
49名を引き連れて歩く李への目線は様々であった。
驚くもの、日本人だと知って冷たい目線で見るもの。特に気にしないもの。
足立が事前に予約しておいた観光バスに乗り込んだ。
「みなさんが泊まるホテルはあちらになります」
10分くらいしてから李は言った。
バスから降り、ホテルへ入る。
バスはホテルの駐車場へ停められた。
「みなさんの部屋は大型部屋の515と516になります」
李は5階に上がり、部屋を見せた。
「ではまずは荷物を置きに行きましょうか」
李は命令するかのように言った。
49名は各自の部屋に行き、衣類などの大型荷物を部屋に置きに行った。

「李!」
49名が部屋に入り、李しかいない静かな廊下で前方から声がした。
「どうしたの?陳」
李は陳に訊く。
この陳という男、観光バスの運転手である。
「李・・・あいつらどうすんだ?」
陳は心配そうに李に訊く。
「大丈夫よ」
李は言う。
ガチャン・・・扉が開く。
「私宅終わったぜ」
近藤が顔を出す。
「あっはい」
李は改まって姿勢を整える。
「あれ?アンタはさっきの運転手」
近藤は目を細めて言う。
「あ・・・適当に理由言ってくれ」
陳は日本語が話せないので李に話しかけた。
「・・・トイレに来たんですって」
李は答えた。
「へえ。そうか」
近藤はまた部屋に戻った。
「俺、あいつらに電話してくるわ」
陳は走り去って行った。
「ええ」
李は走り去る陳に向かって言った。

陳は観光バスの運転席に座り、電話をかけた。
「あ・・・武田さんですか?やつらが来ました」
『本当か。よかった。お前らに任せておいて。こんなに早く来るとは思ってなかったからな。
 あいつらもバカだよな。上手くお前らを工作員をして忍び込ませたことにも気付かずにな・・・健闘を祈る』
そういうと武田は電話を切った。
「ふう・・・」
陳は溜息をついた。

「なんで通訳なんて雇ったんですか?」
和泉は足立に訊く。
「いや、空港の人から中国の人が通訳と観光バスを用意しましょうかって言ってたって聞いたからなぁそれで雇った」
足立は答える。
「・・・・そうですか。なんかでも怪しくないですか?そういうのって。三龍会が仕組んでたりして・・・」
和泉が目を光らせる。
「・・・・それはないじゃろう」
足立が言った。
「そうですかね・・・」
和泉が言う。

後にこの言葉が図星と気付くまでは長い時間がかかるのであった・・・
続く