ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 小説『Potential』小説名が変わりました! ( No.23 )
- 日時: 2010/10/09 17:57
- 名前: ほすとさむらい ◆hLYmfkI/ok (ID: DxRBq1FF)
第十七話[闇に葬られた事実]
昼食は唯一顔がばれていないオヤジがコンビニで買うことにした。
普通の弁当だ。通帳は持ってきてはいるが、銀行になんて行けない。
幕の内弁当を六つ買い、ジャンプを買った。オヤジが読むのだ。
車に乗り、みんなでそれを食べた。朝はカロリーメイトだったため、おいしく感じる。
和泉「どこにいきましょうか」
オヤジ「そうだなあ」
和泉「うろうろしていてもガソリンの無駄です」
オヤジ「行くあてなんてないもんなあ」
近藤「ないなあ」
オヤジ「工場も潰したし・・・」
川田「うーん」
ガラガラララ
酒井「菊池さん」
菊池「おお。どうした」
酒井「大西被告の銃の売買元が分かりました。中国系マフィアの三龍会というところです」
菊池「三龍会・・・・・」
菊池は何かを思い出す。残像が連続して蘇る。
菊池「あああああああああああ!はあ・・・・」
酒井「!どうかしましたか!」
菊池「いや・・・・少し一人にしてくれ・・・」
酒井「あ・・・はい。では署に戻ります」
菊池「・・・・はあ・・・・」
酒井はこっそりと病室を出る。
菊池「あのとき・・・・あのときだ・・・・」
———————五年前のあのとき
中国マフィアの行方を追っていた。三龍会だと知ったのはその後だった。
そのマファアには日本人がよく加入するらしい。日本との貿易があり、そのために日本人が必要だそうだ。
「はあはあ!」
私は一人で日本で殺人を犯した男を追っていた。母国・中国に帰還したということだった。
そのとき私はまだまだ下っ端だった。中国へ行かされ、その男を拘束するように言われた。
まだ未熟だったのだろう。男には発砲許可が出ていた。
殺さない程度にと。だが当時の私にまともに銃を扱えることなど出来なかった。
これを逃してしまえば私は更に下へと落ちる。なんとかやつを捕まえねばと。
男のようなものがいた。中国人の声が雑音のように聞こえ気が散る。
写真を見直し、こいつだと確信した。しっかり標的を見つめた。
引き金に手をかける。バァーン!発砲した。当たるはずだった。
だが運命すら私の敵だった。
男は地面の小銭を拾ったのだ。その前にいた女性に命中した。
咄嗟の判断だった。隣にいた日本人に拳銃を押し付けた。
人々の視線は日本人に向けられた。私は逃げた。人混みに紛れ。
それに気づいた男は咄嗟に逃げた。やつが犯人だ。間違いなかった。
日本人はすぐに中国警察に逮捕された。撃たれた女性はほぼ即死だったそうだ。
幸い、いや不幸だったのか。私はばれなかった。誰一人疑わず。
日本人を拘束したということもあり、私は成功した。そして伸し上った。
射殺された女の名は近藤詩織。犯人となった男は亜門龍司。
私はなんてことをしてしまったのだろうか。いつの間にかその記憶は闇に葬られていた。知らず知らずのうちに。
続く