ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 聖なる書物を汚す僕は____ ( No.2 )
日時: 2010/10/03 13:24
名前: 夜深 ◆2C0BmKQq3I (ID: a6i4.RaK)


第二夜『壊レル魂ハ叫ブ』


僕は弟を殺した。
実の弟を殺した。

12歳と1890日目、僕は自分で自分が分からなくなった。
赤黒くなった僕のスカーフ。
台所から消えている銀色のナイフ。
憎い憎い、あいつが憎くてたまらない。
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い

その気持ちだけが僕を支配してしまった。
壊れていく僕自身を咎めるのは誰だろう。

空を見上げた。
真っ黒で真っ暗で、星ひとつ出ていなかった。
僕の魂は叫ぶ。

「僕は悪くない悪いのはあいつだ」
と。

父さんや母さんは仕事から帰ってきたらどんなに悲しむだろうか。
ぼろぼろに泣き崩れて、弟の死を悔やむだろう。
自殺だと思わせるためには遺書が必要だな。

だから僕はこう書いておいた。
「兄サンガ僕ノセイデ苦シンデイル姿ヲ見ルノハモウイヤダ。サヨウナラ、雄母サン、御父サン、サヨウナラ。」

これでよし。
弟の字なんてろくに真似できないけど、きっと両親は分からないはずだ。

汚れて壊れて行く僕の魂には
12歳と1891日目から悪魔が宿った。