ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 路地裏の住人たち 裏・一話up ( No.8 )
- 日時: 2010/10/22 18:03
- 名前: 狩人 ◆Puie0VNSjk (ID: /od6a26Q)
「おい、それよこせよ」
目の前には坊主頭の二年野球部四番レギュラー、雲神元太(くもがみ げんた)がいた
僕の一番嫌っている人物だ僕にちょっかい出してくるしパシリするし
よく一年の野球部部員を引き連れている
そんな奴が目の前にいた
身長180くらいのシャツを出しただらしない格好をしていた
それがカッコいいと思っている奴が何故か多い、不思議だ
「え、何を渡すの?」
僕は基本的にはヘタレなので脅える事しか出来ない
「そのくじに決まってるんだろ!高い金額払って裏で今回の『お茶会資格』は21番って言うのを聞いたんだ」
「そ、それで?」
「だからお前の握ってるのは21番だろ!?」
「ち、違うよ」
「さっき後ろから見えたんだよ!さっさと渡せ!」
「ひっ」
元太が胸倉を掴んできた
その瞬間僕の胸倉を掴んだ手を誰が掴んだ
「あ?みやこーくぅーん…なんか文句あるのか?」
「横取りは卑怯だ、だからお前は気に入らないんだ。お前にその情報を渡したが卑怯なことをしないと約束したはずだ」
「はぁ?お前そんなこと俺が約束すると思ってるの?」
そういって大笑いした、続けて一年も遅れて笑った
都君は舌打ちをして元太の胸倉を掴んだ
「あ?ヲタクの癖に何やってるの?汚いんだけど!じゃ・ま・な・ん・だ・よ!!」
そういって元太は都君の胸倉を掴んだ
今にも喧嘩をしようとする空気だった
「わ、分かったよ、渡すから二人ともやめて」
「な!慎司!!」
「こんなとこで争っても意味ないよ…」
「でも悔しくないのか?」
「こんな券の為に都君が停学されるのは僕は嫌だし…また当てればいいんだし」
都君はすこし悩んだ後胸倉から手を離した
僕は元太に券を渡した
元太は乱暴に都君の胸倉を離した
「けっ!それでいいんだよ!それで!」
そう言って笑いながら元太はにカウンターに行った
「…糞が!絶対に潰す!!」
「ごめんね、僕のせいで」
ハラハくじには景品として無料食券や何故か旅行券など景品はランダムだ
そして男、女が欲しがる一番の景品は低い確率で手に入る「お茶会資格」
「お茶会資格」は生徒会にいる人を一人指名して放課後に一緒に色々話したりできる券だ
生徒会には今六人の男女がいてどれも美男美女
この学校の生徒は美男美女に近づけるチャンスとしてそれを狙っている
僕は生徒会女子の「水無月 恋」さんを話してみたかった
僕は彼女みたいにたくさんの友達がいないので参考として聞いてみたかった
そして出来れば友達になって欲しかった
でもその夢は全部元太によって打ち砕かれて無くなった
「元太が全部いけないんだよ、お前は悪くない」
「うん、ありがと…」
「変わりに俺のくじやるから元気出せ」
そういって僕にくじを手渡してきた
やっぱり都君は優しい、でも何で友達が少ないんだろう
僕もくじを引く為にカウンターに向かった
三つの列が出来ていて真ん中の列に僕達は並んだ
左の列には元太がいた
「くじ、あたるといいなぁ!なぁ慎司君」
「そ、そうだね…」
「あんな奴いいから無視しようぜ」
「うん」
嫌な気分のまま列は僕の番にまわってきた
ちょうど元太も列がまわってきた
「おばちゃん、焼き鳥丼一つ」
「ラーメン一つ」
「焼そばカツカレー一つー!」
右隣からはかわいらしい声で僕の好物の名前が聞こえてきた
うー、羨ましい
「はいよ!で、くじは?」
三人はおばちゃんにくじを渡した
「料理が出来るまで待っててね」
そういって厨房に戻っていった