ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 世界をボードに魔術【ゲーム】のバトル ( No.108 )
- 日時: 2010/10/30 17:08
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: NN.yKTYg)
音も無くクィリーは膝を突くと、吐血しながら死んだかのように空ろな表情でその場に倒れこんだ。
“死んだかのような表情”と言うだけで、死んでいるわけでもなく、戦意を喪失して脱力している状態に等しかった。
ただ単に、力の差がまだあっただけ。
ジャックは話しかける事もなく、その場を立ち去ろうとしたその時だった。
力なくその場に跪き、クィリーと同じように前のめりに倒れこんだ。
頭の所に転がっていたガラス片が刺さって結構痛い。
どうも、低酸素内での先頭はきつ過ぎるらしい。
体中が悲鳴を上げている。
所詮は、生き物の域を出ることが出来ない人間と言う種なのだと改めて痛感した。
だが、こんな所で、
「倒れていられない時に倒れてしまうから打破不便そうだな、ジャック。今の貴様であればクラブの2でしかない最弱兵の私でも殺せてしまいそうだ」
黒髪の女が偉そうな口調でジャックを見下ろしている。
この女、誰だ?
クラブの2は確かに最弱だ、だが常人よりは強いと断言して良い。
そんな奴が瀕死のジャックを殺すのなどは、簡単な事だ。
「俺を殺しにでも来たか?」
倒れてもなおジャックは相手を睨み付け、近づけぬよう殺気を放つ。
死に際の人間がここまで気迫を放てるのならば大したものだが、トランプ適合者には恐怖と言う感情が無い。
適合時に恐怖と言う感情と、死を代償に適合するからだ。
ことのつまり、適合者は死ねない。
死んだとしてもジャックのように別の世界で何度も同じことを繰り返すのだ。
その女はジャックを見下ろしたまま、
「いーや、私はあんたを殺しもしない。命令されたらそれまでだし、下手な事やって世界を戻されても困る」
その言葉の直後だった、あの手がそいつの頭に触れる。
それと共に、その女は苦痛に跪いた。
そう、赤喰だ。
「お前、何してるんだ? まだこのフロアに居たのか……。そういえばトランプ適合者だったな、あのガスの所為で本当は2階以上のフロアには近づけないってワケか、悪い事をしたな。ハッハッハ」
「笑ってないで、どうすればいいのか教えてくれよ」
気さくにジャックに話しかけてきた。
それに対し、ジャックは動かない体を無理に動かし、その場に座ると赤喰に問う。
「あのガスは、水溶性のガスだ。水ぶちまけて見ろ、火も消えるしガスも水に溶けて消える」