ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 世界をボードに魔術【ゲーム】のバトル ( No.116 )
- 日時: 2010/10/31 21:03
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)
コツ、コツ、コツと足音が瀕死に近い重症を追ったジャックの目の前へ迫る。
赤喰もその敵を前にしたとたん、足をすくませる始末だ。
両肩に暦とアレンを抱え、ジャックを確認すると目の前へと投げ出した。
どうやら、新ではいないようだが、確認できるだけで骨が数本折れて、間接は粉々、それ以前に出血量が半端ではなかった。
その姿を見たとたん、ジャックも恐怖に駆られた。
「男爵、……何故ここにいる? お前は本部勤務——いや、この計画の第一人者のはずだろ……?」
近づいてきた男をジャックは男爵と呼び、男爵と呼ばれた男はクックックとジャックを嘲笑う。
この男だけは、戦闘で勝てる勝てないではない。
戦闘を行った時点で“負け”なのだ。
この男の本質は、ゲームのプレイヤー。
つまり、ジャックたちのコントローラーであり、ジャックたちトランプの適合者、チェスの適合者の委棄しにはこの男が握っている。
「駄目じゃないかジャック、カードがプレイヤーに逆らっては」
「残念かも知れねーケド、逆らった覚えはねぇよ。お前は俺を憂鬱にも適合させただろ? 俺はその名の通りに行動して、その名の通りにお前に歯向かっただけだ」
ジャックの口調がやや強くなり、表情も恐怖から威嚇へと変貌する。
そうだ、
“俺は憂鬱なんだ、俺に届く奴もいなければ、俺以上の奴もいない”
俺が本気でベストを尽くせば、俺の前で倒れない奴は居ない。
故に、
「俺が無敵だからこそ、憂鬱に適合できたんだよ。夢想も、俺が憂鬱だったからこそ組上げられた。仲間も、憂鬱な俺の気まぐれが育んだ。魔神との出会いも、俺が更なる高みへと上り詰めるべく壁となった。……違うか? 俺に恐れて、お前は俺を消そうとしたんだろ? 殺そうとしたんだろ? どうだ、何とか言ってみろよ」
言葉の途中で、男爵のけりがジャックを捕らえる!
だが、ジャックはその場で刀を使って脚を二つに裂き、
「男爵? 俺の言う事に間違いが無いからこそ、攻撃したんだろ?」
ジャックはゴミを払うと、重症の体を無理に立たせて夢想を構えた。
男爵はそれとまったく同じ動きで、まったく同じように腰のサーベルを抜くと構えてみせる。
この男が夢想を使えるわけが無い、
「まさか、貴様……」
「そう、そのまさかだよジャック。俺はゲームの駒共の力を十全に扱えるのさ、君の勝ち目は無いと思え」
男爵の言葉と同時に、後ろの壁からナイトが顔をのぞかせた。
まずいな、2体1は無理だぞ……。