ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 世界をボードに魔術【ゲーム】のバトル    ( No.137 )
日時: 2010/12/01 16:11
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)

男爵の剣がネルの剣を貫通し、ジャックの頬に小さな傷を刻む。
ジャックの傷口から、血が出る気配などもう無い。
殆ど流してしまって血液など残っていないからだ。
では、何故ジャックは立っていられる? 生きていられる? 何故、死の一歩手前の男が、


「何故その様な目が出来る……?」


男爵は呆気に取られたような顔をし、ジャックはそれとは反対に男爵を今すぐにでも殺そうかと睨み付けていた。
ジャックの殺気のない殺気が当たりに充満する。
常人であれば、吐き気をおよもし立っていることなどままならないだろう。


「俺が何故死なねえかって? お前が良く知っているだろう、俺が憂鬱のジャックだからだ!」


ジャックの刀がネルの剣ごと男爵の剣を弾き上げる。

男爵は丸腰だ、これで


「終わった! ……とでも思ったのかジャック、トランプの使命は忘れても俺の強さは忘れたわけではなかろう?」


男爵の有りえない威力の蹴りが、ジャックの腹に直撃する!
その蹴りは、ジャックの肋骨を全て蹴り砕き、そしてなお威力を弱めることなくジャックで金属の壁をぶち破った。

普通なら、これで死んでいる。
ジャックは再び力なく叩きつけられた壁から前のめりに倒れこむ。
だが、それも数秒間の間だけだった。
何秒化して、もはやボロ雑巾と化したジャックの口元が動き、


「……勝ったとでも思ったのか、詰めが甘いぞ男爵。俺は現に、こうして、生きている……!」


まるでダメージを受けていないかのように、重傷の体を刀で支えながらも立ち上がった。

「ここまで来て、死んじまったら元も子もねぇだろうがッ!」

怒鳴り散らした所為だろう、凄い勢いで吐血するが、倒れる気配など無い。 むしろ、意識がよりはっきりとしてきているような瞳、

「まったく持ってジャック、お前の根性には心底呆れた。 望みどおり! ここで片をつけて……!」

男爵の言葉が不意に止まり、憤怒の表情が浮かぶ。 もちろん、それはジャックに対してだったが、今は別の人物に向けられていた。 
対象は、罪木 耶麻。 それも、大鎌を男爵の首元に三人の罪木が突きつけていた。 どうやら、黒魔術の一つだろうが、ジャックはそんな事今は気にしていない。 もちろん男爵も、積み木のことなどただの雑魚としか見ていないだろうが、邪魔された事にむかっ腹が立っているのは間違いない。

「貴様が……先に死にたいのか? 退け!」

「退かない、それに死ぬ気も無い」

怒りで我を忘れかけている男爵に、罪木は静かに言い放つ。 それが男爵を更に怒らせた。 
男爵は一歩前に踏み出すと、短剣を躊躇無く罪木の心臓に、それも三人同時に深々と突き刺した。