ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 世界をボードに魔術【ゲーム】のバトル    ( No.138 )
日時: 2010/12/01 16:41
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)

心臓を突き刺されたというのに、罪木は何食わぬ顔で懐をごそごそと探ると、懐中時計を取り出した。 針が丁度深夜十二時を指している。
それを確認すると、罪木の姿が巨大な扉へと変貌した。 大きさは目測で高さが10m、横幅2m重そうな金属のノブに表面は独特の金属光沢が光っていた。
次の瞬間、恐らく誰も予想だにしない、いや、予想できなかっただろう。
大量の海水とともに巨大な船が扉の枠に船体をこすり付け出現し、男爵を軽く踏み潰したのだ。
思わずジャックは唖然として、開いた口がふさがらず、更には死ぬ間際までの大怪我に海水がモロに当たっている痛みも忘れ、

「何だよこれぇ !? 俺要らなくなかったか? なんか役に立ってたか? ええ !?」

思わず大声で叫ぶ。 それもそうだ、突如巨大な船が罪木の姿だった扉から流れ出てきたのだから。 だが、突然の出来事に混乱していたジャックの混乱も解け、船は普通より小さなことに気が付き、更には海水が傷口に染み入る痛みの感覚も戻ったらしい。
ものすごい形相でその場に倒れこむ。
それを見かねたネルが、倒れこんだジャックと、溶けた金属の中に封じ込められていた東 宗一郎を意図も簡単に金属から引き剥がすと、船の上へと投げ込んだ。
もちろんの事、本物の罪木が魔術によって浮遊させたまま医者の元へ運ぶ。

「そろそろ、師匠みたいな大きな船にしようかと思ったけど、小さいほうがいい時もあるものね。さて、チェックメイトだよ、男爵。……いや、ジェームズ・ノットマン。君は魔術保持の第3法に違反した。よって君から魔力とゲームプレイヤーの力を抜き取り、死ぬまで凡人として生きてもらうよ?」

「勝手にしろ、殺せ」

「もちろん断る。自殺しようなんて考えないほうがいいよ? 出来ないようにするけどね。まあ、私に言わせてもらえばどうして第5法までしかない戒めに違反したのかってところが知りたいね」

ネルが選手の下敷きになり、重症の男爵に罪を言い放つ。
そう、この戦いは終焉を迎えた。


       恐ろしく長い夢とともに——。