ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 世界をボードに魔術【ゲーム】のバトル ( No.3 )
- 日時: 2010/10/20 16:44
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: NN.yKTYg)
ジャックの戦闘後に残ったのは、夥しい死体の山、山、山……。
実に酷い物だった。
ある者は首から上が無く、またあるものは心臓を突き刺した後に剣を持ち上げ、肩にかけて切り裂いてあった。
その死体を今度は空爆と墜落機で火葬する、棺桶の要らない葬式だ。
一方その頃、空中戦となるがために本国へと帰還した。
ジャックは国立図書館の6000年以上も昔の西暦5298年の魔海戦争の記事を見つけ、手が止まった。
写真がハッキリしていないと言うのもあるが、魔海戦争で人間もろとも敵となる人物を葬り去った海賊船の女船長の指についている指輪に見覚えがある。
直後、反射的に自分の手を見た。
まったく、同じ指輪…… !?
「どうなっている…… !?」
そういえば、今の戦争も指輪が関与していたな。
詳しい事は戦争を起こしている本人に聞けばいいか。
そんな事を考え、資料室を後にした直後、ジャックの支えが無くなったためか、資料のページがそれより2000年ほど新しい新聞の一面へと移った。
一面には、“新たな魔神が魔海で人間を殺している模様”とまで大きく出されている。
写真付きで、写真はネル本人が写し出され、その手にはあの指輪がついていた。
そんな事知る由も無く、ジャックは国会の警備をしても意味の無いためにガードマンの居ない天井を突き破ると会議中の議員たちに瓦礫の雨を降らせた。
突き破った天井からジャックは鋼の靴底とは思えぬような軽やかな音と共に着地する。
「なあ、今の戦争の理由って何だっけ?」
議員相手に態度がでかいが、これもジャックの特権だった。
「今の戦争の理由ですか、また何故そのような事を? わが国が正しい事をするに当たり邪魔をする国を打ち倒しているだけの事、君もこれからまた頑張ってくれたまえ」
その言葉を聴き、ジャックはあざ笑うかのように口を開いた。
「そんないい加減な答え誰が聞くかよ、指輪がどうこう言ってたと思ったけどな」
ジャックは指輪をはめた手を議員へと突きつけ、
「この指輪、戦場でもらったんだけどよ、どうも6000年前の魔海戦争の時の魔神のものにソックリなんだ。お前等の狙いは多分これだろ? 魔神の指輪だ、それ相応の力が手に入るそうじゃないか」
ジャックは見せびらかすようにして指輪を良く見ようとした議員の手を弾いた。
議員側もなにやら言いたい事があるらしく、口を開くと話し始めた。
「そうだ、その指輪を得るための戦争だった。周囲の国もそれを狙い、戦争となったのだ」
「お前等の狙いはこれだろ? なら何故戦争を起こす、今すぐにでも止めさせろ!」
ジャックの言葉に議員は不敵な笑みをこぼし、
「そうはいかん、……残念ながら、指輪の持ち主はお前の言った通り魔神だ。今の戦争は誰が魔神から指輪を奪い取るかを競っているのだ、今止めて指輪を持っていたとなってはこの国は周囲の強豪国から袋叩きに会う」
まったく、こいつ等の言い分ときたら人を散々殺しておいて、
「勝手な奴等だな、だったら俺はこの国を出て、敵の戦力へと回ってやるぞ?」
人間のやる事はまったく、反吐が出る。