ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 世界をボードに魔術【ゲーム】のバトル オリキャラ募集中 ( No.30 )
- 日時: 2010/10/11 11:25
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: NN.yKTYg)
暦に背を向け、ジャックはリングから出ようとしたその時だった。
『暦選手、まだまだ行けそうですね。試合続行です、ジャック選手、リングへ戻ってください』
マジかよ、明らかに致命傷を与えたはず。
何故まだ戦闘が可能と判断された?
そんな事を考えつつも、暦の方方を向いたジャックは、
「……マジか、化け物じみてきやがった」
その存在に恐怖した。
影で自らの体を支え、腕を形成し、心臓をも無数に形成しているその姿に……!
「影使いのボクにはこれくらいの事は朝飯前なのさ〜」
「朝飯どころかお通夜のチョット前くらいにしか見えないぞ、血ぃドバドバ出てっし。化け物かよ!」
「そう、ボクは化け物なのさ」
実際はそんな事など関係ない、全てにおいて影が代わりとなる。
血の影は血に代用できるし、影の元となった物ですら影の動きに連動させられる。
つまり、壊す事はできない。
降参させるしか無いようだな。
「流れ星、試し切りさせてもらうぜ!」
「上等だね〜」
ジャックは夢想で不規則に切りかかる!
しかし、その不規則は通用しない。
「全部止まって見える、君の足元見てごらん」
足元……?
「魔方陣!」
危機一髪だった、ついさっきまでジャックの立っていた所が噴火した。
どうやら地中の溶岩を呼び寄せるタイプの物らしいが、近くに活火山など無い。
「どれだけ遠くからこのマグマ呼んだんだよ !?」
「マントル辺りから」
有り得ねぇ、こんなデタラメな奴がいるのか !?
その噴火の直後だった、観客席が歓声とは別の悲鳴で沸きあがった。
どうやら原因は、第三者の攻撃らしい。
「あの血まみれ坊主か!」
「ボクも助けに行くよ〜」
ジャックと暦の目線の先には、背が高く、ボロボロになった灰色の服を着ているが、服がボロボロだとは感じさせないインパクトのある血まみれ坊主頭の男が両手に観客の頭を持って歩いていた。
観客の頭は、まだ死んでいないらしく眼が周囲の状況を知ろうと動いている。
どうやら、魔人戦用の魔人が逃げたらしい。
取り合えずこの騒ぎを止めなくては、
「オイ、待てよ。血まみれ坊主」
ジャックが傷だらけの体でそいつの前へ立ちふさがる!
しかし、動じる様子も無くそいつはゆっくりとした口調で、
「血まみれ坊主とは何だ。俺はアレン・メディロア、魔界の化け物よ。ここは一体——…」
「そうかい、化け物って面だと俺も思っていた所だ!」
ろくに話も聞かず、敵とみなした相手に突っ込むジャック。
話くらいキチンと最後まで聞けよ。
そんな事を考えながら、暦がジャックを止めようとした瞬間だ、ジャックがアレンに触れるか否かの所で壁へとまっすぐに吹き飛んだ。
暦の時とは違い、大きく壁にめり込んでいる。
ゆっくりとした口調が、今度は暦に向けられる。
「次はオマエか?」
「……化け物め」