ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 世界をボードに魔術【ゲーム】のバトル ( No.69 )
- 日時: 2010/10/25 17:41
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: NN.yKTYg)
奴だ、間違いなく。
忘れられない、あの殺気もないのに背筋が凍る眼光がこちらを向く。
「誰——…ですか?」
!?
俺の事を知らない?
記憶が無い……?
そんな馬鹿な、確かに俺たちの目の前で暴れていた。
目の前で……だ。
覚えていないなど、よっぽどの馬鹿でもない限り有りえない!
「教会に何か御用でしょうか? 確か……人間兵器のジャックさん。ここは貴方のような殺戮兵器が繰るようなところではないのですが。それと、刀は鞘に収めてもらえませんか? 私を殺すつもりであれば構いませんが」
その言葉と共に片腕だけイフリートと化し、ジャックの胸倉を掴むと刀をなぎ払い扉へと押し付けた。
教会のある港と言っても、精々教会はただの飾り。
人間なんてまずここには来ない!
「何だ、俺のこと覚えてやがったのかッ!」
「覚えているも何も、初対面ではないのですか? 私の前で向き身の刀を私に向けたから防衛処置を取らせていただきましたが」
何を言っているのかさっぱり分からないのか、あった事も忘れているらしい。
嘘をついているようになど見えない。
「失礼しましたねぇ、この状態では刀はしまえない。下ろしてもらえねえか?」
ジャックは半ば怒った様子で奴に言い放った。
普通なら、実力が上のものには従うしかないが、ここで死ねばまた最初からだ。
あの日の朝、ネルとであって再びここまで戻る事になるだろう。
死んだって構わない、どうせなら悔いが残らぬよう当たって砕ける方がいい。
「分かりました、信用しましょう」
「俺って信用無いんだな」
「当たり前です、殺人兵器ですから」
奴はジャックを解放すると、刀をジャックに投げ渡すと鞘に収めるのを確認した。
用心深い、何があった……?
ジャックは一つだけ心当たりがあった。
ここの神父は“知りすぎている”が故に暗殺などの被害が絶えなかったと言う。
大体は返り討ちが普通だったらしいが、もう相当の年だ。
殺されたのか…… !?
不安になったジャックは奴の脇を抜け、教会の中へと駆け込んだ。
予想は的中、神父は既に胸から鮮血を噴出しステンドグラスを背に十字架で胸を突き刺されていた。
希望が
呪いから開放される最後の希望が
……絶えた。
それを、見下ろしている物が一人。
「運がいい、“ジャック”がここに居るとは」