ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 世界をボードに魔術【ゲーム】のバトル ( No.70 )
- 日時: 2010/10/25 20:36
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: NN.yKTYg)
フードつきの青いパーカーの男がジャックを見下ろしている。
しかし、ジャックはその事など気にする事もできなかった。
最後の希望が目の前で死んでいたのだから。
神に仕える者が、神によって殺されていたのだから。
今しがた生きていた希望が、音を立てて壊れたのだから。
ジャックは神父が完全に死んでいる事を確かめると、再び周囲に警戒を始めた。
死んだのは今さっき、まだ殺人犯がこの教会の中に居るかもしれないからだ!
そして、もし居たら、
「首の皮剥いでさらし者にしてやる……!」
ただ何も考えず殺してしまうだろう。
まて、そんな事ではいけない。
——殺してはいけない、殺してはいけない、殺してはいけない——
ジャックの耳元であの声が騒ぎ立てる。
しかしジャックはそんなものに耳を貸そうともせず、
「うるっせぇッ!」
怒りに任せて怒鳴り散らした。
端から見れば、独り言を大声で言っているだけにしか見えないが、ジャックはそんな事を気にしては居なかった。
背の刀に手が伸びる。
そして、力をこめて素早く鞘から引き抜くと手近にあった柱を一本切り倒した。
ジャックの刀、流れ星の切れ味は凄まじい。
鉄骨ですら軽く切り裂く力を持ち、力無き者が扱うと刃が曲がり、使い物にならなくなってしまう。
ジャックの瞳が、見下ろしていたパーカーの男を捕らえた。
「オマエかッ!」
異常なまでの跳躍で瞬時にして天井へ、そこを足場に刀を突きつけ猛突する!
しかし男は呆れたような表情を浮かべ、
「俺と戦うのかい? 面倒くさいなぁ」
という言葉の直後、流れ星を素手で鷲掴みにすると流れ星ごとジャックを壁へと投げつけた!
男のパーカーが頭から離れる。
しかしジャックも案外冷静だった。
投げ飛ばされた壁に足をつくとそのまま刀を手の中で回すと構えなおす!
「マジかよ。一時期有名人だった東 宗一郎じゃねえか。確か、G-ドラゴンプロジェクトの第一実験体!」
かなり有名な話だ。
自分の居た孤児院での進化改造に唯一生き残った完成品!
噂ではジャックと同じかそれ以上の能力はある。
「確か、常人の500倍以上の力を発揮することができるんだっけか?」
「昔の話だねぇ。今の俺は世間一般では500だが、実際は700近い力を扱えるんだぁ」
700 !!
大丈夫ではない、むしろ危ない!
ジャックの戦闘相手は2000人以上の大隊が殆どだったが、人間一人一人の力など高々知れている。
それが500、ましてや700誓い力をつけたらどうなる !?
2000人よりも、500の力を持った一人のほうが確実に強い!
それが実際は700と言ってきた、絶望的だぞ……!