ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 世界をボードに魔術【ゲーム】のバトル ( No.72 )
- 日時: 2010/10/25 21:18
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: NN.yKTYg)
ジャックは改めて刀を持ち直すと構えを変えた。
夢想は怪我のせいで殆どまったくと言っていいほど使えない。
使ったりなどすれば、そのとたん体が分解する。
つまり、今のジャックはハッキリとした武器は流れ星以外に存在していない事になる。
かなりこれはマズイ、非常にマズイがここをクリアしなければ生き残れない。
「ったくよ、初めて戦場へ放り出された時を思い出すな。かなりきつかった覚えしかね——…」
言葉と同時にジャックが動く。
その直後だった、とんでもない怪力が京一郎とジャックを吹き飛ばした。
「あのさ、私の教会で暴れるのやめてくれないかな? あの爺さんが死んだ以上、この教会は私、アルケミィのモノなんだから」
その言葉を合図に、青い髪が紅く変色し、体中からどす黒い炎を吹き出すと巨大な龍へと変貌した。
これは……
「化け物か……」
それを見た京一郎も体中から紅い炎を吹き上げると同等の大きさの龍へと変貌する……!
もちろん、ジャックにそんな能力などあるわけもなく、避難する以外は何も出来ない。
「マジでお前ら何モンだよ!」
ジャックが叫ぶが聞こえてなど居ない。
アルケミィの変身した龍が牙をむく。
それに迎え撃つかのよう迎え撃つのは変身した殺気までのジャックの憎い敵。
もう、ワケが分からない。
ただ単純に、できることは攻撃を避ける。
それだけだった。
ただ単に、龍同士の先頭で壊れないこの教会の強度には驚かされたが、そんな事は頭をよぎる程度だ。
しばらく経っただろうか、どちらかの龍の尾がジャックを捕らえ、壁に叩きつけた。
そのまま意識など消えるのは当たり前。
目が覚めると、ジャックは宿のベッドで横になっていた。
「一体、何があった……?」
ただそれだけが疑問として口を突いて出る。
その直後、ジャックは耳元で騒ぎ立てていた“声”に話しかけられる。
———私が代わりに逃げた、貴方が死んだら私が死んだ意味がない———
話しかけられたのはその言葉が、最初だった。
後に思ったのは、声の主とは、彼女とは関わってはいけないという事だけだった。