ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 世界をボードに魔術【ゲーム】のバトル    ( No.73 )
日時: 2010/10/25 21:47
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: NN.yKTYg)

ベッドからジャックが飛び降りると宿のカウンターへ向った。
金をまだ払った覚えがないし、今からこの港を出るに当たって代金を払わなくてはいけないからだ。
しかしそこには店主の姿などなく、表へと出てみても人一人どころかネコ一匹の気配すらしない。

逃げた……のか?

ジャックはふと教会の方へ顔を向ける。
その直後、港の異変の原因に気づいた。
教会の煙突からどす黒い炎が噴出したのだ、恐らくまだ戦闘は続いている。
それを悟った直後、再びあの声がジャックを小突く。


———不死鳥が来ている、教会へ行けばトランプ呪いが解けるかもしれない———


その言葉にジャックは反応すると、疾風の如く誰も居ない教会への一本道を突き抜けると教会のドアの前まで来た。
その速いこと、2kmはある宿からの道のりをものの20秒で駆け抜けたのだ。
必死の人間の能力は凄まじい、オリンピック選手も口が閉まらないだろう。
その勢いで、流れ星の存在も忘れ教会の扉を蹴破ると、そこは既に戦いが終わった事をジャックに悟らせた。
ネルが、二人を力でねじ伏せていたのだ。
こいつの力は冗談抜きで底が見えない、底なしと言って殆ど間違っていないだろう。
証拠に、ネルも変身できるのだろうがヒトの姿で龍に引きを打ち倒していたのだから。

「あれ? ジャックじゃん、どうしたの? トランプの呪縛を解きにでも来たの?」

そのネルの質問はドンぴしゃり、ジャックをうなずかせるのに十分だった。

「そうだ、俺はもうヒトは殺さない。この世界が終わるまでは確実に……!」

その言葉を耳にしたネルは、まるで豆鉄砲でも喰らったかのような表情へと代わり、

「ジャック、君は殺さないことを選んだんだね? 正直、私の血族は殺さなければ生きてはいけない、そういう使命を背負っている。でも、殺すことをやめるんだね?」

その言葉は、ジャックを混乱させた。
血族? 使命? 殺さないといけない?


「殺す殺さないは俺の勝手だ。血族って言ったな、俺とオマエの関係を話してくれ。まずそこからだ」


そう聞かれると分かっていたのか、ネルは口を開くとただ一言、こう言い放った。


「私と君は双子なんだよ」


それは、後にジャックを更なる混乱へと突き落とすこことなる。
だが今は、その事実を鵜呑みにするとジャックは言葉を続け、

「使命は一体なんだ?」

「使命とは、殺された貴方を蘇らせるに当たって死神とした契約。嫌になっても一日一人の命を奪い、死神に献上する事。それのせいで、私は神に死神に任命されてる。死神と言っても、魔神も受け持っているけどね。ジャックは制約では私と関わってはいけなかった、だけど今、関わってしまったんだよ。だから君も、晴れて死神になったの」

ネルは淡々とその問いに答えた。