ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 世界をボードに魔術【ゲーム】のバトル ( No.75 )
- 日時: 2010/10/26 18:15
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: NN.yKTYg)
———1時間後———
ジャックの質問が、ついに消えた。
ネルは腰の剣へと手を伸ばすと、そのままジャックに向ける。
「私は、君まで死神にする事には耐えられない。ここでジャック、君を殺すことを選ぶよ」
手の中で剣をジャックが刀をクルクルと回すように回転させるとそのまま構えた。
型は、ジャックとまったく同じ夢想。
だが、同じ夢想でも鍛錬日数のわずかな違いで差が大きく開く。
4000年生きたネルと、ほんの十数年の年月の記憶と鍛錬日数しかないジャックには圧倒的に不利だ。
だからと言って、夢想に型のない剣技を使えばそれだけでも致命的と見て良い。
「気づいたみたいだね、その通り。夢想の鍛錬日数の差が私と君の力の差よ、君では私に勝てない」
分の悪さはそれだけではない、ネルにはまだこの段階から変身する能力が残っている。
この場で龍にでも変身されてみれば、それこそジャックを一撃であの世へ吹き飛ばすだろう。
そうなればそこでゲーム終了だ。
「殺されてやるかよ、俺は生き延びる。それで、チェスも、トランプも全て! 全ての不安要因をこの世から犠牲を払わず消去する! 俺が死ぬのは、それが終わってからだ!」
ジャックは怒りに任せて怒鳴り散らす。
元はと言えば、コイツがジャックにそれを教えたのだ。
今になって、ここまで来て止めるなんて事はしない。
自分の忌々しい力もだが、その力をこの世から完全に根絶すると言う目的があっての行動だ。
今更後に引く気はさらさら無い……!
ジャックは流れ星に手を伸ばすとクルリと手の中で回転させて構える。
双子と言うせいか、構えがまったく同じで両者共にズレがまったく無い。
だが、そんな構えには限界があり、その後の技能と身体能力がこの戦いではものをいう。
身体能力、技能面ともにジャックが明らかに劣っている事など戦闘を行う前から分かっている。
「だが、俺はここで死んでも構わない。殺されても目的は成し遂げる、目的を歪める気はねぇ」
咆哮を上げてジャックは斬りかかる。
一撃一撃を確実に撃ち込み、攻撃の隙を与えなければ良い。
そんな考えを持ち、ジャックは寝るに刀を振るうと、虚しくもネルのカウンターで振るわれた剣の一撃で流れ星は砕け散った。
———貴方は刀が使えない、逃げなさい———
あの声が、ジャックを小突く。