ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 世界をボードに魔術【ゲーム】のバトル    ( No.76 )
日時: 2010/10/26 18:28
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: NN.yKTYg)

死が、足音と共に近づいてきたのが分かる。
今そのときが、今この時が、今この場が、今ここで、


———俺の寿命が終わる———


そう悟らせる死の音が、ジャックの直前まで迫っていた。
それは、ネルの剣を振るう音、それは剣が空を裂く音、それは、ジャックの心臓が、突き刺される音。
それは、ジャックが心臓を突き刺され、ひざまずく音。
その全てが、死の音だ。

「チクショウ、俺はまだ死ぬわけには、俺はまだこの記憶を失うわけには……いかないんだ!」


心臓を突き刺され、膝を突いたジャックは地面にうずくまる。
心臓を突き刺されて数秒間、時間がスローに感じる。

走馬灯って、本当に死ぬ時は見ないんだな……。
ただ単純に、今までの事が懐かしい、そんな気分だ。

ゆっくりとした時間の中、ジャックは最後の足掻きで心臓に突き刺さった剣を引き抜くと、あらん限りの力を振り絞りネルへ投げ飛ばした。
だが、そんなものあっさりと避けられて終わりだ。


意識が……遠くなってきた……。


「……」


「……、きろ」


「……、起きろ」



「ジャック、目を覚ませよ」








「ジャック、君が適合した」





目を開くと、あの時の、トランプ適合直後のあの場所へと戻っていた。
目の前にいる学者は、ジャックの最も殺したい人物だった奴。
今度は何処まで、リセットされた……?