ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

「始まり…」 ( No.9 )
日時: 2010/10/30 13:28
名前: 茶侍 ◆ejQgvbRQiA (ID: tA56XhER)


暗い、一室の奥…

「王女さまぁ♪いぃ〜い知らせがあるんですけどぉ」


この、魔性女…いや、美少女は、先ほど見たあの光景を話した。

「ほぅ…ついに見つけたか。では、頼めるか?」

美少女が話している相手。
綺麗な黒髪…
大きな、つりあがった瞳…
近寄りがたい、高貴な雰囲気を漂わせる少女…
それはまさしく、「王女」と呼べるにふさわしい女だった。

「ふふっ♪任せてください。あ!そうだぁ…」

「どうした?」

「ダイチ君なんですけどぉ…あの子、私のお気に入りなんですよぉ♪私のものにしちゃっていいですかぁ?」

やはり、魔性女と呼んだほうがよさそうだ。

「構わん。あいつ…シュナリィさえ捕まえることができれば…」

「あは♪相変わらずダイヤ国クイーンのことが大嫌いなんですねぇ」

ぎろり…
冷たい視線が突き刺さる。

「口を慎め。お前は素直に私の言うことに従っていろ」

「ごめんなさぁい…」

シュンとして俯く。

「…まぁいい。では頼んだぞ…スペード国【役職5】…ラム。」

「了解です♪」

ラムはその場から消え、王女一人が残った。

これから始まる悲劇を目の前にして、冷静な顔をしながら…かつての敵国のQを思い出す。

「今度こそ…必ず…」

どこにでもなく、自分に言い聞かせるようにつぶやき、王女は静かに目を閉じた。