ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 「そうだね、どうしようもない愚か者さ」 ( No.1 )
- 日時: 2010/10/05 21:48
- 名前: 六 ◆BbBCzwKYiA (ID: Go.89if1)
- 参照: http://某海賊紳士を嫁に貰いたい(Σ
そんな訳で今自分は屋上に来ている訳なのだが、どういう訳なのか分からないという質問は敢えて無視しておこう。自分自身昼休みに昼食を食べ終えてからここに来るまでの記憶が一切無いのだから。ああ、ひとつだけ確かな事がある。今は授業中。そして今自分は屋上のフェンスに向かっているということ。理由?そんなものは後付けでいい。最も、落ちた後に自分が生きていればの話だ。死んでいたら理由もくそも無いのだから。
「さあ、自分は飛べるだろうか」
答えは分かっている。翼もエンジンも何も無い自分が飛べる訳はない。そんなことが出来たら自分はもう既に人でないだろう。ただの鳥だ。
それも悪くないかもしれない、と柄にもないことをふと思って、フェンスを越えた所で小さく呟く。
「………東雲続、今から落ちます」
恐らく、生き延びる事はないだろう。
そう確信を持って言える程高い屋上から、よく自殺者がするように腕を広げてそこから飛び降りてみる。ちなみに靴は脱いでいないし、スカートだって押さえない。そんなことをするならまず自分の心配をするべきだろう。
コンクリートの敷かれた地面の近付いてくる気配がして、そのまま意識を失った。
***
気がついたら、目に見えたのは真っ白な天井。……ああ、自分は飛び降りたんだったか。屋上に行った時といい今回といい、今日は記憶の飛ぶ事が多い日だ。
「……馬鹿だろお前」
暫くそのまま何をするわけでもなく天井を見つめていると、聞き覚えのある声とともに人の気配。思わずそちらに目を向ければ、心配するでもなく嬉しがるでもなく悲しむでもなくただただ呆れた顔の幼馴染み、柚木京の姿が視界の端に映った。
「つくづくお前が変な奴なのは分かってたが、まさか飛び降りるとはな。3日位寝たまんまだったぞ、お前」
彼の話した内容に頭の中で前言を撤回する。ここ数日は記憶が飛ぶことが多いらしい。
そして無為に起き上がり、未だに呆れ顔の幼馴染みに漸く言った言葉。ちなみに起き上がってみて初めて気づいたが、どうやら片目が眼帯で覆われているらしく視界が落ちる前の半分だった。それから首にも何かがあるらしく、少しの圧迫感と痛みがあった。
「……そうだね、どうしようもない愚か者だよ」
(保留?)