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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ERASE'S DERKNESS 闇を消すもの ( No.2 )
- 日時: 2010/10/08 20:09
- 名前: yuki.・* ◆ZhstMH.9BI (ID: cVA1W6Ik)
プロローグ
彼女は生まれてすぐに穢れた存在と化していた。
盗みを、その幼い小さな体を生かして犯していた。
盗むものは色々変わった。盗むものを持つ獲物も。
現金や高級品。
絵画や歴史的財産。
子供だったり、老人だったり。
他にもいろいろと。
最悪、その人の持つ“世界”を奪うこともあった。
彼女は、人の命だけは奪わなかった。
しかし、いつも獲物には共通点があった。
人の命を奪ったくせに同時に奪った金で裕福に暮らす大罪人に。
無差別に命を奪った者に。
自らの地位を消されるからと人を消した愚か者に。
あわや助けられる命を見放した者に。
彼女は罰を与えた。与えてきた。しかし。
———たりない。
いくら罰を与えても、罪人たちはそれを繰り返す。
減らそうとしたのに。なぜ、減るばかりか増えるのだろう?
そう考えながらも罪人の家で仕事を終えたとき、背中に自分と同じような、それでも人ではない何かの存在を感じた。
「あなたが悪魔でも何でもいい、闇を消す力をわたしにちょうだい」
—————闇は消えないさ。陽光があれば影ができるように、光がある限り闇は消えないんだ
そう。彼女が高校生になったとき、彼女の前に悪魔が現れた。
「...では光を消せば闇の連鎖は消えるの」
問いかけると、彼はくく、と笑った。
—————そうだろうね。両方とも消えたとき、世界は元の平坦な世界に戻るさ
元。神はかつて、この世界を闇と光を基にした対のものにした。
陰と陽。 悲と喜。 怒と楽。 破壊と創造。 過ちと償い。 悪と聖。 死と生。
それでもいいなら、あんたの心と僕の力を引き換えよう。
悪魔はそういった。
果たしてそれがよいのか分からないまま、淡い疑問を残したまま、彼女の心は悪魔との契約の代償になった。
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