ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 破壊と創造 オリキャラ&コメ募集中! ( No.45 )
- 日時: 2011/01/13 22:28
- 名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: hQNiL0LO)
Capter Ⅶ 消火
燃え盛る炎の中、レイシーは奥へと突き進んでいた。
こういうときこの体は実に便利なもので、リベルとの悪魔の契約のおかげでどんな有毒ガスを吸っても平気である。
酸素のない水の中でも息もできる。
もし、宇宙へ行ったら———それでも平気なのでは、と思う。
「誰か!!誰か、いる!?いたら返事して!!助けに来たの!!・・・・・!!!」
そこに見えたのは、あの店員たちだった。
油断した、とレイシーは思った。
その店員たちとは、さっき自分たちと話していた店員全員だったのだ。
それはただひとつ、ある重大なことを示していた。
あの時、レイシーは、リンネは入ってすぐ集団で話していたそこに来たものだと思っていた。
ところがあの小娘、本当は私たちの話していたことを盗み聞きしていたのだ、と。
レイシーは手を目の前にかざした。
火が互いをなめあう。
レイシーにも当たるはずなのだが、レイシーは炎を操るなんて動作も無い。
かざした手の前には、大剣が現れていた。
レイシーがそれを掴むと、彼女の神の一部は紫色に、両目は赤と青のオッドアイに変わった。
「—————ッ!!!」
そう叫んで大剣を驚くほどの力で振るうと、台風や竜巻よりも圧倒的に強い風が巻き起こり、炎はいっせいに弱まった。
続いてレイシーの念じた気によって、大剣が深い海のような青い光を帯びた。
それを頭上で勢い良くクルクルと2週回すと、ダン、とそれを突き刺した。
すると突き刺した場所から大波が発生し、倒れている店員も、火も、レイシー自身さえ飲み込んだ。
焼け跡さえも残さずに火は完全に消え、水は一瞬のうちにざぁっと引いた。
水はキラキラと静かにきらめきながらやがて消えた。
きらめきは店員の体にも水より少しばかり長めにとどまり、やがて水と同じように消えた。
水はまるでさっきのが幻だったかのように、どこも濡らさずに。
そしてレイシーが大剣を宙に放ると、それも現れたときと同じように忽然と姿を消した。
「ねぇ・・・。ねぇ!起きて。もう、大丈夫よ」
店員の一人を揺さぶって、彼女は言った。
店員はしばらく惚けたような顔で座っていたが、やがて目を見開いて隣の店員を揺さぶった。
「リズ・・・。リズ!!起きて、火が消えてるわ」
リズと呼ばれた店員は、起きてさっきの店員と同じ表情をした。
出火元であろう場所もガン見しているが、焦げ跡さえも見つからない。
「さぁ、出ましょう・・・・・」
レイシーは4人の店員を全員起こして誘導した。
外には消防車1台、数台のパトカーと、隣に彩香、それにリンネを抑えた獄が突っ立っていた。
彩香はレイシーを見つけ、ほっとした顔をした。
「・・・あの子、能力で逃げようとしたの。だから、専用のあの例の手錠で捕縛しといたから」
リンネは、もう正体を隠すことなく、その邪悪な瞳で容赦なくレイシーを睨みつけていた。
Caoter Ⅶ・・END・・