ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 破壊と創造 オリキャラ&コメ募集中! ( No.47 )
- 日時: 2011/01/31 18:10
- 名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: hQNiL0LO)
Capter Ⅸ 再生
*Livel Side*
なんていう無茶なことを・・・。
第一、こんな面倒臭い体になった原因さえもよくわかってないっていうのに。
・・・まぁ、この姿でいると不思議と魔力使ってない気がして、だいぶ楽な面もなくはないんだけどな。
遠ざかるレイシーの後姿を見ながら、リベルはそんなことを思った。
ま、ものは試しだ。
リベルは乗っている屋根に爪を立て、腰を高く上げるとそのまま勢いでぐっと頭を上げ、体を仰け反らせた。
ウオオオオオオオ・・・・・。
夜の街に狼のような遠吠えが響き渡る。
自分の周りにまとわりつき、力を閉じ込めようとする“光”の力を吹き飛ばす。
じわじわと肌が熱くなり、淡い光がリベルの体からろ過される水のように染み出てきた。
リベルの体に潜伏していたヴェールのようにまとわりついていた目に見えるその光は、彼の体から出てきた紫色の“闇”の力に撥ね返される。
「・・・よし」
紫の妖しい光は細くたなびく煙のようにリベルの全身から出てくると、背中の一点に集まって翼の形に変わり、やがて実体化した。
翼が再生したのだ。
「う〜・・・・・。かなり余力を使ったな・・・。しかし、これでやっともとの姿だ」
リベルはひとつため息をつくと、大きく翼を羽ばたかせた。
*Rasee Side*
後ろから追ってくる気配に、レイシーは少しばかり顔の向きを変える。
「・・・・・リベル、戻ったんだ。あの姿でも十分かわいかったのに」
「・・・バカ言え。あんな姿、不便でならない」
「なんか前より大きくない?巨大化?」
レイシーの言葉にリベルは飛んでいる自分の体の大きさを確認する。
彼の体は、小型犬の大きさから中型犬くらいの大きさに確かに膨らんでいた。
「・・・ほんとだ」
「気づいてなかったの?案外鈍いのね」
レイシーは鼻で笑う。
パトカーに視線を戻すと、丁度少年院の駐車場に入るところだった。
リベルも気づいた様子で、レイシーと並んで速度を落とす。
電柱の上に、レイシーは立ち止まる。
「止まったわね。行くわよ」
「今度は置いてくなよ。奴を地獄送りにできないぞ」
レイシーはその言葉を無視する。
リベルがついて来ない理由なんてない。
彼女は電柱のすぐ近くを平行に落下し、途中で電柱を蹴って建物の近くの塀の脇に着地する。
たなびいていた白いコートと黒髪が体の動きに追いつき、背中を打つ。
やはり彼もついてきた。
レイシーはパトカーの去った建物の窓に丸を描く。
描いたその跡は金色の線となって発光し、溶けるように消える。
レイシーは当然のようにいともたやすく建物内に進入すると、暗い廊下にブーツの音を響かせて歩いていった。
Capter Ⅸ・・END・・