ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: —— Ability —— コメください! ( No.69 )
- 日時: 2011/01/31 18:21
- 名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: hQNiL0LO)
Capter ⅩⅣ 病室
リベルが寄り添う。
ほわほわした毛が頬に優しく当たる。
あれ、とリィフはぼんやりしていた顔を上げた。
「リベル?毛の色が・・・」
『!?』
リィフの触れた所だけ、漆黒の毛並みだったはずの毛色が黄色っぽく変色していた。
目を見開いている彼の背中をそっとなでる。
キラキラとした光の螺旋がリベルを包み込み、やがて消えた。
「やっぱりね」
「これが俺の本当の姿・・・」
リベルの体は黄色・・・というよりは太陽のような金色の毛並みに変わっていた。
赤い瞳はそのまま、翼が白鳥よりも白い純白のものに変わっていた。
牙も、角もない、天使の姿だった。
どうやら、リィフの聖の力によって悪魔の気が浄化されたようだった。
「レイシー?入るよ」
「どうぞ」
病室の外で声がした。
ふと、目覚めたときに自分の名前をみんなに伝えていなかったことを今更気づかされた。
心配した様子の彩香を筆頭に、続いて獄、ルーストが入ってくる。
獄も心配しているような顔だが、ルーストは唯一なぜか後ろを向いて突っ立っていた。
「大丈夫!?一体、何があったの!?」
「話すと長いし、信じてくれるかどうか・・・」
リィフは獄がルーストのほうを向いて何か話しているのが気になり、言葉を切った。
すると、二人のこそこそした会話が耳に入る。
「別に照れなくてもいいではないですか———?」
「照れてなんてねーよ!」
「・・・」
「・・・どうしたの?」
リィフが声をかけると、なだめる獄をイライラしながら追い払おうとしているルーストがびくりとして振り返る。
獄が忍び笑いをしながら壁際の彩香の横へ並ぶようにのける。
何も言わず、突っ立っているルーストの代わりに、なぜか彩香が笑いをこらえながら口を開く。
「じつはね、私たちの中で最初にレイシーが倒れていたのを発見して、運んで、心配してたのはルーストだっt「い、言うなよ!」」
リィフは驚いて目を見開く。
いたずらっぽく笑って「へぇ〜?」と真っ赤なルーストに向かって言う。
彩香が付け足す。
「それとはちょっと別件なんだけど・・・」
彩香の話では、意識不明のリィフをつれてきて病院で見てもらう直前パニックで、説明の内容をあまり覚えていないまま待機していたらしい。
ルーストから連絡が来たのだと彩香は言った。
ひとりで待合室で待っているところをふたりで目撃したらしいのだが・・・。
「もうおもしろかった。ビデオでもう一回見たいくらい」
ルーストはナースに、「女性のお知り合いですよね?」と言われた。
彼は不可解な顔をして、そのナースに言った。
『それってどっちに言ってるんですか。あいつですか、俺ですか———』
「ナースの人ね、確認したのはルーストのことだったの。その人はこいつが女だと思ったんだって」
確かに言われてみれば、女に見えなくもないわよね。
そう。微妙に女顔なのよね。だから時々間違えられるらしい。
ナースはその後、慌てて言ったという。
『じゃ、じゃあ彼氏さんですか』
「あーーーーー!!もういいじゃないか!」
「黙れよ、こっからが面白いんだから!」
ナースの言葉を教えた彩香に、ルーストが怒鳴り散らす。
それを聞いていきなり獄がツッコむ。
彩香が笑いながらルーストの隙を突いてリィフに近づき、耳打ちする。
「ま、そんなもんだ、って言ったの」
「だーーーーー!!!言うなよ!!それは誤解だってば!ゴ!!!!カ!!!!イーーー!!!」
ルーストはたまらず叫ぶ。
彩香は容赦なくさらに付け足す。
「告白したようなものよね。てか、ばればれだったし。仕事中も」
「え!?俺が!?」
「そう。だっていつも資料とか持ってくるし。世話焼いてるわよね。正直じゃないからついあたっちゃうらしいけど」
「ルースト・・・。それ、小学生なみですよ」
獄が今度はあきれてそういう。
彩香はまったく、世話が焼けるという顔をしていた。
「だってあんたはそんなだし、なんとなくレイシーは恋とか鈍そうだったし・・・。予想通り、てかもっとひどかったわね」
「待って。そのことなんだけど。私ね、実は“レイシー”なんて人間じゃないのよ」
Capter ⅩⅣ・・END・・