ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: —— 光と闇のAbility戦争 —— ( No.85 )
- 日時: 2011/01/31 18:27
- 名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: hQNiL0LO)
- 参照: http://ameblo.jp/ff7-perfume-love-y
Capter ⅩⅤ 余興
「王城・・・幽鬼・・・?」
リィフはその名前を繰り返しつぶやく。
聞いた事もない名だ。
そのはずなのに、なぜか恐怖を感じる名でもあった。
「そう。彼も能力者——Ability保持者なの。誰にも、何人たりとも逆らうことのできない“運命を握る”Ability・・・」
リィフは聖花の言葉を聞いて驚愕する。
運命を握っている、なんてどうしてそんなに強力なAbility保持者がいるのだろうか。
それは、絶望という名の情報を掲示された気分だった。
「彼は過去に様々な過去を犯している。殺人、テロ、『事故』だと政府が認識している事件も・・・ね。そして・・・わたしも、彼に「だめじゃないかぁ」」
聖花の語尾は、ふたりの頭上から降ってきた声に半ば消すようにさえぎられる。
声の主は「よっ・・・と」と言いながら、リィフへ背中を向けてふたりの間に降り立つ。
黒マントが着地するときにかがんだ人物の足元を隠す。
「君のそれがもう明かされちゃったら、おもしろくないよ。つまらなくなる。それがひとつの醍醐味でもあるのに!」
「・・・・・ブラン・・・」
銀色の艶を持った黒髪の男は、自分の名前を呼んだリィフのほうへ体を少しずらし、顔だけを向ける。
知らずと、リィフの表情は硬くなる。
さっきまで3人のいる裏道の奥のほうにさしていた光が、次第に薄れる。太陽に雲がかかり、光が少なからず遮られたのだ。
「フフフ、とんだ失敗したよね、聖花。それともワザと?それもあるよね。君が彼女の味方をしたいのはわかる。僕は君に嫌われているし」
ブランはおどけたように肩をすくめ、そう言う。
しかし、「本当にそれでいいのかな?・・・さて」と言うと楽しそうにロングコートの内ポケットを探る。
やがてあったあったと言いつつ黒く薄い携帯を取り出す。
電話の相手と軽い会話をすると、口元を歪めながらその携帯を突き出す。
リィフは眉をひそめながら、携帯を受け取って耳に当てる。
とたん、電話から必死な男性の声が「助けてくれ!」と叫ぶ。
彼女は血相を変え、男性に「どうしました!?」と声をかける。
「俺は、妻と家で喋ってた。それで赤髪に茶色いコートの男がいきなり手を広げて!村が燃えて・・・!すぐに広がるし消えないしこの火はおかしいよ!お願いだ、助けてくれ、このままじゃ・・・グふッ!?」
その最後の声とともに、通話はブツリと切れる。
ツー、ツー、という音だけが空しく響く。
リィフは携帯をブランへ投げつけ、にらみつける。
彼女の投げつけた携帯を軽く受け止め、涼しい顔でリィフの顔を眺めている。
「・・・あなたがやったのね」
「まぁまぁ、これはほんの余興さ。ルール違反をすると、このくらいは普通に起きるんだよ・・・ってね」
Capter ⅩⅤ・・END・・