ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: —— 光と闇のAbility戦争 —— ( No.97 )
- 日時: 2011/01/31 20:11
- 名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: hQNiL0LO)
- 参照: http://ameblo.jp/ff7-perfume-love-y
Last Capter ⅩⅨ 無力
*Reaf Side*
数人—————生き残った人々はすすでどこかしら顔の一部を黒くして集まりつつあった。
その人々の顔に浮かぶ表情はやはり絶望と不安の色で染められていた。
リィフは全員の顔を見回し、複雑な表情をしている自らの仲間達に目を配る。
「これで村人は全員?」
「・・・声が聞こえたのは、全員」
彩佳の聞こえた声というのは生者のものらしい。
そういう能力が目覚めたらしいことをリベルから聞いた。今まさに役立った能力だった。
人助けのできる、良いAbilityだ。
「わしらは、これからどうすれば・・・。助けていただいたものの、お礼の品も用意できんし・・・」
「え!?いいんですよ、お礼なんて。こんな事態になってしまっているのに・・・」
村人の中にいた一人の老人の言葉に、獄があわててそういう。
しかしその言葉を聞いて村人や老人はいっそう肩を落とし、つぶやくように話す。
「そうじゃ・・・。もう家畜もいない、家もない・・・。妻は死に、どうしたらいいんじゃ・・・?」
「こういうときだからこそ、絶望に呑まれてはならないんですよ」
思いがけず聖花が口を開く。
うつむき、うなだれていた数人が顔を上げる。
リィフは感情を表に出さないよう、焼け落ちた家々に目を向けていた。
「絶望に呑まれ、生きることを断念してはこの世は闇に落ちてしまいます。この悲劇を繰り返さぬよう、今を必死に生きてください」
「なんて情けないことを」
先ほどの老人がつぶやくようにそう言い、聖花を見つめる。
まるで、女神と巡り会ったような瞳で。
「この少女のような小さな子がこんなに強い意思を持っているというのに、わしはなんて情けないことを」
聖花はにっこりと笑う。
彩佳はすごいわね、と感心するが、リィフの心境は複雑だった。
まだ彼らは聖花を仲間だと思っている。
ああ、どうしたらいいのだろう。
人は無力だ。考えることがなければ、そう言われる。
力を持たない。
しかし。
全ての人に、いまだ眠る能力がある。
人は脳の90%以上も開放していない部分があるのだから。
時が満ちればそれは、自然とつぼみ開くようにゆっくりと力を開花させる———————。
「ねぇ。これからどうする?」
「もちろん、仲間達を探す旅に出る。ここに留まっててもしょうがないでしょ?迷惑をかけるだけだわ」
彩佳の言葉にリィフは決意したようにつぶやいた。
仲間達も同意して頷く。
永い、旅が始まる。
果ての見えない、死に向かうだけかもしれない旅が。
序 章
Last Capter ⅩⅨ・・END・・