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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 迷宮案内人-In the labyrinth ( No.13 )
- 日時: 2010/10/11 09:56
- 名前: 彩崎 (ID: FkTwM/pM)
case02 -樹の場合- 03
樹は、また『迷宮』にいた。樹はそれに気づくなり、にこにこと笑って立っている案内人の胸倉に掴みかかった。
「どういうことだ、俺はこんなことになるなんて聞いてない!!」
「それは私のせいではないでしょう?」
「っ・・・この、お前のせいじゃなくて、誰のせいだと!」
「まだ気づきませんか?」
案内人の目がすっと細められる。右腕がゆっくりと上がり、人差し指でぴたりと樹の方向を指す。その瞬間、樹は全身の筋肉を支配されたかのように、その場から動けなくなった。指一本動かせない、とはこのことだ。勿論、何か言い返せるはずもなく。
「『勉強から解放されたい』と、心から願ったのは貴方自身だ。違いますか?
私はそのお手伝いをしたにすぎません。そこから何の努力もせずに自分が欲しかった結果を手に入れようとすることが、間違っていた——違いますか?」
静かに、ただ静かに、案内人は樹を追いつめる。
「貴方が塾から解放されたあとも、きちんと勉強していれば、こんなことにはならなかったでしょうねえ・・・?」
自分のせい。自分のせいで、俺は受験に落ちた。その事実に、樹は押しつぶされそうになった。意味のない声が唇から漏れ出る。
「せいぜい、悔いることです。貴方の浅はかな考えを、ね」
* * *
また一人、迷宮から出て行った。
「彼は、まだいいでしょう。やり直せるだけ、ね・・・」
案内人は誰に言うでもなく、ただ呟いた。
case02 -樹の場合- end
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