ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 迷宮案内人 In the labyrinth ( No.5 )
- 日時: 2010/10/10 20:14
- 名前: 彩崎 (ID: FkTwM/pM)
case01 -明の場合- 02
「ようこそ、貴方の『迷宮』へ」
「えっ・・・?な、何・・・?」
気がつくと、黒と白で彩られた空間に、明は座っていた。空間、というと大げさかもしれないが、壁も天井も見当たらないそこは、確かに空間と呼ぶのにふさわしい場所だった。
そして、そこには男が一人立っていた。薄い茶色の髪を後ろで一つにまとめ、空間の闇に溶けてしまいそうな、漆黒のコートを羽織った男が、優しげな笑みを浮かべて。
「ここ・・っ、どこ?貴方が連れてきたの?貴方は誰!?」
突然の展開にパニックを起こす明に、男は優しく語りかける。
「此処は貴方の中の『迷宮』です。そして私は『案内人』。貴方を導く、案内人」
「案内人・・・?」
柔らかいテノールの声は、魔法のように心に入り込み、少しづつ理性を壊す。全てをさらけ出させる、魔法の声。
「貴方、悩んでいるんでしょう?」
「ッ!!」
いきなり言い当てられ、明に動揺が走る。目を見開いた明を余所に、目の前の男——案内人は続ける。
「話して御覧なさい。——私なら貴方の悩み、どうにかできるかもしれませんよ?」
* * *
今起きていることを、明は全て吐き出した。そして、縋るような眼で案内人を見つめる。
「助けてくれるの・・・?なんとかしてくれるの?」
「それには、まだ少し足りませんね」
それを聞いて、明は案内人に焦りをぶつけた。・・・もう理性など、少しも残ってはいない。
「な・・・何が欲しいの!?もう、助けて、苦しい・・・!」
「貴方は、どうしたいのです?」
突きつけられた言葉に、明ははっとする。少しためらった後、明は意を決してこう言った。
「・・・広人と、もっと一緒にいたい。広人に好きになってほしい・・・・!」
その言葉を聞いて、案内人はふ、と笑ったあと、言った。
「わかりました。・・・私が貴方を——導いて差し上げます」
* * *
