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Re: 迷宮案内人 In the labyrinth ( No.7 )
日時: 2010/10/10 20:15
名前: 彩崎 (ID: FkTwM/pM)

case01  -明の場合- 04


「いかがでしたか?」
「あ・・・」


 気がつくと、明はまたあの空間、迷宮にいた。


「貴方が、広人を・・・その、私を好きになるようにさせたの?」
「いえ、とんでもない。そういったことには手出しできないのです」


 明は案内人の言葉に驚くとともに、真っ赤になる。それは、広人が前から、明に好意を抱いていた、ということだと気づいたから。


「それ、って」
「そう、彼のもとからの感情です。私は少しお手伝いしてだけですよ」
「・・・貴方はそれを知ってたの?」
「ええ。そうでなければ、また別の方向に導いていたでしょう」


 知っていたのなら教えてくれていたってよかったじゃないか、と明は思ったが、すぐにそれを打ち消した。その結果として、今の自分がいる。そのことが、どうしようもなく嬉しかった。


「案内人、さん」
「なんですか?」

「ありがとう、ございます」


 明は、案内人に礼を言った。幸せそうな、とびっきりの笑顔で。

 そして——また一人、迷宮からは出て行った。


* * *


「彼女のような真っ直ぐな人間が迷い込むのは、久しぶりですね・・・まあ、この先は私には関係ないのですが」


 案内人は、そっと笑う。その笑顔は、どこか悲しげなものだった。


 case1  -明の場合-  end