ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 椿原小学校探偵部、始動【第4話執筆中】 ( No.105 )
- 日時: 2010/11/20 17:39
- 名前: 星都 ◆U9Gr/x.8rg (ID: PWqPGq9p)
——昼休み——
「ふうん。その情報源って言うのはだいたい予想つくけど」
コピー機の音が響く職員室。耶麻の机に集まり、探偵部は報告を終わったところだった。愛香からの報告を受けた後、意地悪い笑みを愛香に向けた。とうの愛香はあらぬ方向へ顔を背けている。
「まぁいいや。ともかく今日の放課後に依頼人に話を聞きに行ってきたまえ」
「分かりました」
“たまえ”のところを無視して言うと、かなたは耶麻に一礼すると行くぞ、と言うように顔を職員室の出口に向けた。
「ああ、ちょっと待って」
「…まだ何か?」
「愛香はちょっと残ってくれないかな?」
「……私ですか?」
いつものトゲのある言葉ではなく、やんわりとした敬語で愛香は返した。隣には自分たちの担任の先生が居るため、考慮したのだろう。
しかし、不満丸出しの愛香を知ってか知らずか、耶麻はにこやかな笑顔で言った。
「うん。少し話があるんだ」
その言葉に、分かりましたと渋々頷くと、かなたに先行っててと言った。
「……ここじゃなんだし、ちょっと中庭にでも行こうか」
——中庭——
「こんなところに来て、何の話?ナンパだったら許さないから」
中庭に来たところで愛香はさっそくけんか腰の言葉を投げた。
それを受ける耶麻は、相変わらずのクールフェイス。
「そんなに怒らないでよ。だいたい教師が生徒をナンパするはず無いでしょ?」
どうだか、と溜息をつくと愛香はそばのベンチに座った。しかし、その顔には少し緊張が見えた。
幼い頃と違うこの状況に、戸惑いを隠せないのかもしれない。
「……僕があげた手帳。まだ持っていてくれてるのかい?」
「……捨てる理由もないから」
ぶっきらぼうに言うと、愛香はいらだちを見せた。
——こんなことを言うためだけに呼んだのか。
「…………」
「…………」
「…………」
「……話はそれだけ?」
話の続きを待っていたが、垣間見えない。正直鬱陶しい。
「ん?それだけだよ?」
「…………そう」
——食えに食えないやつだ。
心の中で舌打ちをすると、愛香はベンチから腰を上げた。
「あれ?もう行くの?」
「当たり前でしょ。だいたい生徒と教師が居るところを見られたら、立場上やばいでしょ」
早く戻った方が良いですよ、そう言い残すと愛香は戻ってこうとした。
——すると。
「僕の秘密…覚えてる?」
「っ———」
「……その反応は覚えててくれてるんだ」
苦笑気味に言う耶麻を、愛香はきっ、と睨んだ。
「あんなのはあんたの作り話だ。私は信じてないし、この先も信じる予定はない。
……つまらない戯れ言はやめなさい」
絶対零度の言葉を浴びせると、愛香は下駄箱へと向かった。
「……うーん。これは嫌われちゃうかなぁ?」
後には耶麻の苦笑混じりのつぶやきが残った。