ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 椿原小学校探偵部、始動【いつの間にか参照700突破!?】 ( No.141 )
- 日時: 2011/03/28 18:30
- 名前: 星都 ◆U9Gr/x.8rg (ID: p81XYxhw)
「……これは、独り言だよ。良いね?」
「……はい」
「耶麻君、返事」
「分かってますって」
青山佐那の家のリビングの隣。畳の部屋に少し小太りな警部、山田警部が声を潜めて話していた。
あの後、咲良は山田警部に事のいきさつを説明した。耶麻とも何度か関わった事件があるらしく、承諾はしてくれた。————が、あくまでも捜査情報を教えるわけにも行かない。
しかし、自分の独り言は聞いていってくれと言ったのだ。
以下の話が山田警部の独り言である。
「そうだな…。今のところ犯人からの電話はない。それどころか、旦那からの電話もない。まったく…近頃の若夫婦って言うもんは、どうかしてるね。
そうそう、一応容疑者は居るんだよ?でもね、どれもこれもろくでもない奴ばかりでねぇ。疑っているのは3人。1人は奥さんの妹。けっこうな遊び人らしく、お金に困ってるらしい。
そして後の2人は旦那さんの弟さん夫婦。子どもは居なくて、実家暮らし。旦那さんのお母さんが資産家だろう?それ目当てに犯行だと思うね。そうそう、最近不審な人物がこの近所をうろついているって聞いてね。黒いサングラスに大きなマスク。大きな黒いコートに、大きな黒い帽子。一応、そっちの線でも当たっているんだけど、大丈夫かなぁ」
長い独り言である。その間、愛香は物思いにふけっていた。頭の中で情報を整理する。
そして、耶麻はどこかにメールを打っていた。指が忙しく動いている。
「さぁ、おじさんの独り言はここまでだ」
「ありがとうございます、山田警部」
「ああ?お礼を言われるようなことは何もしていないさ。ただ独り言を言っていただけ。
耶麻、もうお前の出番はナシだよ。さっさと帰れ」
山田警部は鬱陶しそうに手を払った。一方愛香の顔を見ると一変し、我が子を見つめるように顔をほころばせた。
「また今度会おうね」
「…………あ、はい。お忙しいところ、お邪魔しました」
「酷い扱いの差だなぁ」
「当たり前だろうが」
耶麻と愛香は青山家を後にした。