ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 椿原小学校探偵部、始動【立て直しです】 ( No.3 )
- 日時: 2010/10/11 19:02
- 名前: 星都 ◆U9Gr/x.8rg (ID: PWqPGq9p)
第一話
「もうわっかんなーい!!」
「煩いですわ」
「本当です」
「まぁまぁ」
「………うるさ」
ここは椿原小学校のとある部室。
すると、いきなりドアが開いて先生が怒鳴り込んできた。
「煩いぞ探偵部!少しは静かにしろ!」
「す、すみません…」
そう。ここは探偵部。部室は書庫兼物置だった部屋を片付けたのだ。
先ほどの第一声の主は探偵部副部長の絹岡あや。
それをなだめているのは、順番に春風乙葉、山木秀二、部長の海空かなた、一城愛香だ。
五個の机と、一台のノートパソコンしか置いていない部室は、なんとも殺風景だった。
「分からないからって、大声出すなよ…」
「ご、ごめん……」
かなたに言われると、あやはおとなしく席に座った。
探偵部は主に生徒の依頼などを解決していく部活。…なのだが。
「依頼件数0が1ヶ月も続きますと……」
「暇で死にそうですわね」
秀二がメガネを中指であげながら言うと、欠伸をした乙葉が同意する。
依頼件数が0となると、さすがの探偵部も自分たちで問題等を出し合わないと、暇の状態が下手すると3ヶ月続いてしまうのである。
その問題というのは、黒板一面に書かれていた。
《問題NO,01》
1 「1+1=4」
2 「3+1=7」
3 「2+2=10」
4 「5+1=?」
「?」に入る数字を答えよ。
※皆さんもお考えください><
この出題者は部長のかなた。今から約10分前に出された問題である。ちなみに一番に分かったのは———
「私、解けた」
出題後五分で、かなたから正解をもらった愛香である。
そして今。探偵部員は黒板を凝視している。かなたは暇そうに本を読み、愛香はさらに暇そうに机に突っ伏している。
「………わかんないよ!!」
とうとう不満が爆発したあやが、机をバンッとたたいた。
「だいたい、かなたと愛ちゃんは頭の構造があやたちとは違うんだからね!」
と、勝手に逆ギレをしているあやの隣では、乙葉がクッキーを取り出した。
「はい、あや。これ調理実習で作ったクッキーよ」
「いっただきまーす♪」
乙葉が教室の隅の方にクッキーが入った袋を投げると、あやが即座にそれを追いかける。
「……犬ですか」
思わず感嘆の声を上げる秀二を見ると、かなたは黒板に黄色い文字でこう書いた。
《ヒント》
この文字に、秀二と乙葉が反応する。
「……あや、ヒントがでましたわよ」
「え?マジ?」
クッキーをあっという間にたいらげたあやが、元の席に座る。
《ヒント》
・電卓
「…………たったこれだけー?!」
あやはかなたの胸ぐらをつかむと、いきなり怒り出した。
「それだけで分かるわけ無いじゃん!!だいたい電卓なんて持ってきてないし!」
「あるわよ、あや」
「もしかして、持ってきてないんですか?」
恐る恐る後ろを振り返ると、机の上に電卓を準備している秀二と乙葉の姿が合った。
「……今日の授業で電卓を使いましたよね?」
「もしかしてあや。家に忘れてきたの?」
「……………………」
冷や汗をたっぷりと流すあやに、2人の容赦ない言葉の攻撃。
ここで約10秒間の沈黙。負けたのは———
「うわぁぁぁん———!!乙葉と秀二の馬鹿———!!」
部室中にあやの鳴き声が響いた。
「今の小学生って突然キレるんだよね…」
愛香の場違いな冷静な言葉が、あやの大声に飲まれて消えていった。