ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 椿原小学校探偵部、始動【頑張って執筆中w】 ( No.54 )
- 日時: 2010/11/08 18:20
- 名前: 星都 ◆U9Gr/x.8rg (ID: PWqPGq9p)
- 参照: http://神のみぞ知るセカイ……。最高ですww
<伍嶋塔・幽の話>
僕たちの家と青山佐那の家は近所なんだけど…。
三日前だったかな、その家の人が急に慌ただしくなったかと思えば、すぐに5人から8人ぐらいの厳しい顔をした人たちが、その家に入っていったんだ。そのときはすっごい不思議に思ったんだけど、特に気にもしなかったかな。
次の日は黒い車が、青山家の前に止めてあった。中をこっそりと覗いてみると、一般人には分からないような機械がいくつも置いてあり、僕たちには分からなかったよ。
「と言うことしか分かってないけどね」
「………」
塔が話している間、幽は隣で頷きながら聞いていた。
愛香がすかさず黒板に要約した事を書いていく。一通り書いた後、自分の事を睨んでいる愛歌を逆ににらみ返しながら言った。
「次はあんた。さっさと言え」
「言えとは何だよ。でかい態度取りやがって」
「うっさいわね。あんたよりはましだと思うけど?」
「何だとお?」
「まぁまぁ。二人とも落ち着いて」
今にもつかみ合いになりそうな二人の間に入ったのは、秀二だった。そばで見ていたあやは、よくあの二人の間に入れるなぁ、と感心してしまった。
「ちッ。まあいいや。とっとと話してこいつとはおさらばしてーからな」
「同感ね。ほら、早くしてくれる?」
愛歌はしばらく愛香のことを睨んでいたが、やがて時間の無駄と察したのか、渋々と口を開いた。
別に俺は青山佐那とか言うやつのことは知らねぇけど、その母親なら知ってる。
俺の父親は俳優で、その親父のファンが青山佐那の母親らしい。ま、詳しいことは分からないがな。
つい先日、俺の親父宛に一通の手紙が届いたんだ。封筒には確か青山 美世。その青山佐那の母親だった。
内容は確か、相談事があります、で始まっていてその後には自分の娘の愚痴とか、借金のこととかの相談事らしくて…。さすがの親父もどうすればいいのか迷ってたみたいだけどな。
「ま、ざっとこんなもんかな?」
「ふうん。あんた、見かけによらず意外と話し方がうまいのね。感心しちゃった」
愛香の意外な言葉に、唖然としていたがやがて頬を真っ赤に染めると、うるせぇ、とつぶやいた。
「青春だねぇ」
そうつぶやく耶麻をなんのこっちゃ、と言いたげな目で睨むと、愛香は黒板に話の要点を書き出していった。
「青春がなんだか知らないけど、耶麻さんは灰色の青春を送ったんじゃないんですか?」
「おや、愛香。その言葉は愚問だね。僕は学生時代、必ず一ヶ月に一回は告白を受けるという、とてもモテたんだよ?」
「そうは見えませんが。その証拠に今でも独身ですしね」
だんだん険悪になっていく二人の関係に、いつもは仲裁役の秀二もさすがにその中に入る勇気は、もう残っていなかった。
どうやら愛香は、気に入らない相手ならどんどんケンカを売っていくタイプらしい。
なんてやっかいな性格なんだ……。
思わず額をおさえそうな秀二を見て、かなたは愛香に次へ進めるように促した。
「…じゃあ次は……」
「私ですわね」
「そうね。さっさと話してくれる?この悪魔」
「…あら、悪魔とは心外ですわ。せめて「小」悪魔と言ってくださる?」
「ああああ!!もう良いからさっさと始めてくれ!!」
女同士の戦い、嫉妬、そういうどす黒い物がだいっきらいなかなたが、仲裁に入ると愛香はふんッ、と鼻を鳴らした。