ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 飴玉、夢現 ( No.8 )
- 日時: 2010/10/14 23:10
- 名前: 御伽噺 (ID: 8hgpVngW)
「るー、置いてかないでー。」
低い、男の声が聞こえた。
後ろを振り向くと俺の同級生の花咲笙悟が居た。
美羽は真似された事が心外とでも言うような顔をしている。
「あのさ、みぃの真似する、やめてくれる?」
「だぁって〜、てかっ瑠羽無視しないでよ〜♪」
軽い口調で話しかけてくる。
関わりたくない奴ナンバー1なんだけど。
「うん、美羽にも俺にも近づかないで下さい。」
「別に美羽に近づきたくて近づいたワケじゃないしっ♪瑠羽に会いに来たんだし♪」
それはそれで気持ち悪いけどね。
ともかく、俺はこの男から美羽を一刻も早く遠ざけたいワケ。
そこに、真千が歩いてきた。
「んあ、瑠羽か。…何してんの。男同士でキモいからやるなら俺の視界に入ってくんな。」
「俺だってキモいと思いますよ。文句ならこの男に言って下さい。…てか、そのダサいTシャツ着て近づかないで下さい。知り合いだと思われるじゃないですか。何なんですか、『学食。』って。」
真千が着ているTシャツには、縦書きで大きく『学食。』と書かれてあった。
真千は見る度変なTシャツを着ていて、見るに耐えないほどだ。
大人として大丈夫なのか…?
「学食はうめーだろーが。いいよな、学食食えて。」
「違う。今日、瑠羽、お弁当、作ってくれた。」
「はー?男なのに作んのか…、ああ、姉貴今居ねーのか。」
「弟から愛を込めて注意してやって下さいよ。迷惑です、正直。」
「……ま、頑張れ。何かあったら来い。あー、やっぱDVD見たいから来るな。」
「用が無くても行かせて頂きます。邪魔をしに。」
「おーい、笙悟ちゃんを無視してくれるなー。」
顔がつきそうな位近くに寄っていて気持ち悪い。
俺は無理矢理笙悟を離した。
その様子を見て真千は「気持ち悪…っ」と吐き捨てて家へと帰っていった。
「じゃ、行こうか美羽。変態さんは放って置いて。」
「うん、行く。変態さんほっといて。」
「変態じゃねーよ!!人間が好きなだけだっ!!人間!!大っっっ好きだ——————!!!!」
そう言って叫ぶ笙悟を放って置いて歩き出した。
あれ?今日は…テストだっけ。勉強してないや。
罰を犯した天使は、羽を無くし、静かに現の中へと消え失せる。
*⌒Y⌒*⌒Y⌒*
久しぶりに見た、俺の大事な息子
凄く逞しくなって、家を支えていた。
なぁ、お前、何で死んだんだよ。
答えてもくれないのか。
『—————』