ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 蒼天のヘキレキっ! ( No.1 )
- 日時: 2010/10/14 23:55
- 名前: Agu (ID: NHSXMCvT)
連続した銃の発射音が俺の耳に鳴り響く。
背にしているコンクリート壁の端に、何発かの銃弾が命中した。
「クソッタレめ!出てきやがれ!」
壁で隔てられている向こう側から、声が聞こえてくる。
三流の悪党って良くこういう台詞を吐くんだよなぁ……
「うっさいわよ!三流の癖に!」
あ、俺が思っていたことをズバリと言いやがったな。コイツ。
対になる様にあるコンクリート壁に隠れながらも、俺が貸してやったソーコムMk.23ピストルを乱暴に撃ちまくるこの女。
早瀬 渚。
「ちょっと、ボッーと突っ立ってないでアンタも撃ちなさいよ!」
「分かってるよ……ッ」
一気にコンクリートの影から身体を出し———トリガーを引く!
俺の手に握られているSIG P226ピストルが、銃弾を次々と発射した。
バンッ!バンッ!という乾いた音が場を支配する……
ッ!
光がかすかに相手の銃に反射した、シルバーメッキ!
「早瀬ッ」
「分かってる!」
俺たちは同時に壁に隠れる。
刹那、凄まじいまでの銃撃が襲ってきた。
後、少し遅かったら、右半身だけが穴だらけになっていたな……
「……このままじゃ、埒があかないぜ」
「ふんッ、だから屋上からラベリングで突入しようって言ったのに」
「危険すぎる、何人いたと思ってんだ」
「だからってこんな状況も好ましいとは言えないんじゃないの!」
クソッ、相方は短気だし、敵は隠れて出てこようとしないし。
最悪だな、まったく。
「受けとんなさい、へタレ!」
「あ、おい。こら」
早瀬は俺がワザワザ貸してやったソーコムをこっちに放り投げやがった!
壊れたらどうするつもりだ…………まあ、そんな精巧な道具でもないんだけどな。
俺が困惑していると、コイツは背中に背負っていた太刀を解き放つ。
その見事な刀身に眼を見張る。日本刀なら見たことがあるが、これはまた別格だ……
「突入するわ、援護して」
さらりと言ってのけた早瀬。
「……やるのか?」
「このままじゃ逃げられるわよ!」
「ああ、クソッ」
俺は渡されたソーコムを左手に持ち、右手に持っていたP226をしっかりと握り締める。
2丁拳銃だ。
短気女こと早瀬が口を開く。
「準備はいい?」
……とんでもない女とくっ付いちまった。
「ああ、大丈夫だ」
「それじゃあ行くわよ!……1、2、3——GOッ!!」
俺は身体を滑らせ、両手に握り締めた拳銃のトリガーを引く。
……さて、どうしてこうなっちまったんだっけ?
