ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: そこで勝手に死んでろ オリキャラ募集 ( No.12 )
- 日時: 2010/10/23 20:47
- 名前: 月兎 (ID: dD1ACbVH)
第二話 そこで勝手に拾ってろ
「で」
鵺は無表情で目の前にいる人物に問う。
「で?」
疑問形なのだが、鵺の言葉がわかりにくい為か暦が続けて言った。
「で、って人見つけたから連れてきた」
人物、枢は先程出会った少女を自分の前に立たせ肩に手を置いている。
「名前は」
鵺が聞く。
目線は少女の小刻みに震える肩にいっていた。
「?聞いてない、名前なんて言うんだ?」
枢は顔を覗き込んで聞くと、少女の震えていた肩がより一層震えだす。
それを見て鵺は少女に、枢に近づくと二人の手と肩を離れさせた。
「?」
「名前は」
本人に直接聞く。
少し安心したように、少女は小さな声で言った。
「七夕 命…」
シチユウ ミコト。
「大丈夫だよーお姉ちゃん達、悪い人じゃないから」
暦も少女の前に行くと目線を同じにするため腰を低くして言う。
「悪い人じゃないからって言うか?」
「あ、あの人は悪い人かも知れない」
ニコニコと少し嫌み交じりに言うと頭をなでる。
「なんだとっ!」
枢が大きい声を上げる。
「煩い」
「で、どうしたんだこの街」
鵺は問う。
「ああ、ここでもやってるらしい」
何を?そうは誰も言わなかった。
「やはりか、今日は満月だからな」
彼らが話をしている間、暦は聞こえてもいないかのように少女、命と話を続ける。
いや、実際に耳には入っていない。
「おい、命!」
「っ」
枢は呼ぶと少し微笑みを浮かべていた命の顔が硬直する。
「くーるる、優しく!」
暦が怒ると、枢は頭を少し掻いてから少し小さな声で言った。
「一人か?」
命は目の置き場が分からないのかいろいろなところを見て、
「お兄ちゃんが、いる」
そして少し間が開いて、もう一言。
「でも、今日は帰ってこないの」
その言葉に鵺と枢は顔を見合わせた。
「暦、今何時だ?」
「んと…」
腕時計を確認して言う。
「5時だよー」
確認が取れ、鵺がもう顔を出した月を細い目で見つけて言う。
「暦、今日は酒屋に行く」
暦は何の不満も不安も感じさせず大きく頷いた。
「命ちゃんはどーするの?」
「わ、たしは家に戻る」
「そっかー」
「 」
暦は言葉を途絶えさせて
「そっかー」
同じことを言うと、笑顔で手を振った。
「呼びだしちゃってごめんね、ありがとう!ばいばい」
少し疑問がありそうな顔をしていたが、命も手をふり返す。
「××がここでも行われていたか」
「おう。もう満月の日か…早いもんだな」
「どうする」
『もちろん、何もしないさ』