ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: そこで勝手に死んでろ オリキャラ募集 ( No.16 )
- 日時: 2010/10/25 09:31
- 名前: 月兎 (ID: dD1ACbVH)
第三話「そこで勝手に飲んでろ」
「《LIBERTY》」
暦が笑顔を絶やさないまま人差し指を立てて歩きながら言う。
それに枢が暦を見て聞き返す。
「LIBERTY?」
突然の暦の英語に枢は疑問ばかりだったが、鵺は滔々と口を開いた。
「LIBERTY(リバティ)…自由か」
鵺の言った通り、暦が言ったLIBERTYは自由という意味があるのだ。
枢が鵺の言葉に反応して暦を見る。
「で、それがどうしたんだ?」
「酒屋の名前だよ」
そう言うなり暦が何処か遠いところを指さした。
暦の人差し指の先には店の看板、木製の板に血をイメージさせる紅を使って英語が書かれている。
「アレか」
LIBERTY、そう書かれた酒屋がそこには建っていた。
「自由なんて、似合わないな…本当に」
枢が呟く。
「大層な名前のついた店だ」
鵺は店を見上げる。
それは何処にでもあるような店だが、どこか他の店とは違うような雰囲気が漂っている。
時刻は6時になるところ。
暦が鵺と枢に腕時計を見せて時間を知らせた。
「今日はこのお店?」
暦が聞くと、頷き店の扉に足を進める。
店の中からはすでに人の声が聞こえ、にぎわっているようである。
「 」
扉を開けると、中にいた大勢の人の目線が三人へ向けられる。
にぎわっていた店内が突如として静寂に包まれた。
「おいおい、ここは子供が来るとこじゃねェよ」
見るなり一人の男が笑いながら言う。
つられてか、既に酒の入っている大柄の男達は下品に笑った。
だが、慣れているのか何の反応も見せない。
短気な枢でさえ子供という単語に何も言う事は無かった。
「待てよォ、可愛いお譲ちゃんがいるじゃねェかァ」
顔を赤くした無精髭の男が暦を見るなり、ひゃっくりを止めずに言う。
すると、それにももはや慣れているかのように暦は笑顔のまま会釈を返した。
『お客さんかい?』
扉が錆びた音を立てて開き、店の奥から今までいた男達のようでは無い、小柄な男が姿を現す。
店のオーナーなのか、枢達の前までかけてくると
「どうしたんですか?」
聞いてくる。
男の右目は黒い眼帯で覆われていて、独特な雰囲気があるが裏腹になんとも優しい口ぶりだった。
「酒は飲まねぇよ」
枢が言う。
すると男は笑って
「それは分かってますよ、こちらでしょう?」
手の人差し指を使って×を作って三人へ見せた。
「××…」
鵺が呟く。
暦はもう何も耳に入っていないようで何処か遠いところを見つめている。
「こちらへどうぞ」
男が店内の扉を指さした。