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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 過去と現在 −カコ ト イマ− ( No.3 )
- 日時: 2010/10/17 22:12
- 名前: 柚羽 ◆PUobjUKDWE (ID: DC1GHWka)
第一章 はじまり
平成X年 十二月六日
最近、私に対する千紘の行動が変わった。
行動だけじゃなく言動までもがすべて変わったように思える。
そう気づいたのは十一月のおわりごろだった。
それまで私は千紘になんか全然興味がなかった。
偶然同じ苗字の安藤啓のことが気になって仕方がなかった。
千紘が変わったその日まで私の世界では啓だけが光り輝いていた。
千紘なんて存在もなかったのに。
たった一日で私の世界は変わってしまった。
啓と私だけだった世界にいつの間にか千尋がいた。
邪魔だった。
邪魔で邪魔で仕方がなかった。
しかし、なぜだろうか。
だんだんと啓の輝きが薄れ、その分の輝きが千紘に移っていった。
私は——誰が好きなのだろうか。
それさえもわからなくなった。
「お前って、本当に啓のこと好きだよな」
後ろからやってきた千紘が私の頭に大きな男らしい手を置いてそういった。
「……うん」
わからないままに答えてしまった。
啓が好き。
そんな気持ちはもうほとんどなかった。
かといって千紘の事が大好きだとか言う意思もない。
私の世界に千紘が入ってきたその日から
私は自分自身がよくわからなくなった。
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