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Re: 過去と現在 −カコ ト イマ− ( No.4 )
日時: 2010/10/17 22:34
名前: 柚羽 ◆PUobjUKDWE (ID: DC1GHWka)

いつの日からか私と千紘、そして啓は一緒に下校するようになった。
千紘と啓は幼稚園のころからの友達だそうだ。
二人の会話を聞いていると仲の良さがとても伝わってきた。
「二人って、仲良いよね」
実際少し羨ましかった私は二人にこう聞いてみた。
「当たり前じゃーん、ずっと一緒だもんな?」
千紘はそういうと啓に抱きついた。
「ちょ……」啓は千紘を離しながら「まあ、ずっと一緒なのは確かだけどな」
少し笑ってそう言った。
私は啓のそのやさしく緩い笑顔が好きだった。
それから私は啓だけと会話を交わしていた。
決して千紘を無視しようと思ったわけではないが。

でも、そのときに見えてしまった。
千紘が憎そうに啓のことを見る恐ろしい目を。
まずい、と私は思った。
「ねえ千紘、私を家まで送っていってよ」
とっさに頭に浮かんだ言葉がこれだった。
「え……なんで」
千紘は嫌そうな顔をした。しかしこの顔は嫌という意味を表す顔ではなく
驚きと動揺が表れているのだと私はすぐに察知した。
「いいじゃん、たまには二人きりで帰ってみ」
啓がケラケラと笑いながら千紘の背中を押す。
「そうだよ。ほら、帰ろ。バイバイ安藤くん」
私は強引に千紘の腕を引っ張り啓に手を振った。