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Re: 過去と現在 −カコ ト イマ− ( No.5 )
日時: 2010/10/20 17:19
名前: 柚羽 ◆PUobjUKDWE (ID: DC1GHWka)

それから私と千紘は無言のままだった。
こんなに誰も言葉を発しない状態って辛かったかな。
「……ねえ」
低めの声で千紘が言う。
「……なに」
このとき私は後悔した。
きっと怒られるに違いないと思っていた。
「今日、家に来ない?」

意外だった。
私は自分が無駄に心配していたことを馬鹿らしく思った。
千紘の顔を見る。
少し恥ずかしそうにしていた。その顔は緊張したようにも見える。
「うん。いいよ」
千紘の緊張をほぐすように私は笑顔でそういった。
「そっか、よかった。じゃあすぐ……来て」
千紘はそういうとにっこりと笑って私を追い抜き去っていった。
「千紘の家……か」
意識もなく言葉が出た。
なんだか何かが起こりそうな気がして。

これは十二月二十五日、クリスマスの日のことだ。