ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Blue cross オリキャラ募集中です ( No.13 )
- 日時: 2010/10/20 21:12
- 名前: 浅葱 ◆jnintUZIrM (ID: m26sMeyj)
- 参照: http://PCが変わったので名前も変えてみました← 十六夜です
01 夜の恐怖
グチャッ……ドシャッ……
ヒュォォォォォ…………
弾丸の嵐が飛んだ後、何人もの“吸血鬼”が自分の目の前で命を途絶えさせるのが見えた。
そして真夜中の荒廃した街を冷たく吹き晒す風が容赦なく頬に辺り自分の癖毛の髪を揺らす。
髪が頬につくと、頬についた赤い返り血が髪につき茶色と赤色の奇妙なコントラストを見せた。
「……任務終了、か」
そう言いため息をついた青年—櫻井夏苗は70年前の日本でなら考えられない様なライフルを地面に置く。
そして指で十字架を切るとくるりと後ろを振り返り、彼の作った惨状—“吸血鬼”の死体から背を向けた。
“吸血鬼”が唸る音も、強くなる風の音も何の音も彼の耳は受け付けないかの様に夏苗は堂々としていた。
——————それが夏苗の、いや。“R・S部隊”の掟であったから。
「夏苗、こっちも終わったぞ」
夏苗が背を向けて歩こうとした時に、夏苗の前から1人の少年。夏苗の弟の櫻井光が現れた。
ショートカットで夏苗以上の癖っ毛(つまりは天然パーマ)を揺らしながら大きな黒目を夏苗に見せて。
そして夏苗はあぁ、光も無事だったのか。とホッとした笑みを浮かべてから光に手を振る。
任務終了の、温かい雰囲気であった。
「報告書は夏苗書いてもらって良いか?」
「あぁ、良いよ。今回の任務は大変だったしね」
夏苗は苦笑しつつきっぱりと言いながらも申し訳無さそうな表情をする光にねぎらいの言葉をかけた。
ちなみに任務と言うのは“R・S部隊”にとっての仕事。簡単に言うと“吸血鬼”や“人狼”退治の事。
時々スパイ系やらコンピューター系の任務もあったりするが、大抵は退治系の任務が中心となっている。
報告書の意味はそのまま。起こった事件と“吸血鬼”と“人狼”の動きについて書くのみ。
「すぐ本部に戻る?」
「そうだな。仲間達も待ってるだろうし」
夏苗の問いに頷きつつも微笑む光。それにつられて夏苗も自然に自分の頬が緩んでいくのを感じた。
……じゃあ、速く帰らないとね。夏苗は光にそう言いにっこりと微笑むと次の瞬間二人は走り出す。
兄弟ならではの意思の疎通だった。
——————クゥォォォォォルルルルルル……
「!」
遠くから聞こえた大きな遠吠えに二人は表情を一瞬にして変えて後ろを振り向きあった山を睨んだ。
……遠吠えの正体は“人狼”。普段ならさっさと退治しに行く予定だが今日は満月ではない。
実は“人狼”は“吸血鬼”ほど脅威では無く、満月の日以外はあまり能力を発揮しないのだ。
ならば極力体力は消耗したくない……二人はお互いの意思を目で確認し合い走り出すのを再開する。
「多分、満月の日にはまた此処に来れるね」
「…………そうだな」
光は哀しげな表情に加え自責の様な溜息を着いた。
まぁ、それは彼らしいよね……夏苗はそんな光を見つつ苦笑した風に微笑み速度を強める。
さっさと本部に着いて報告書を書きたいと言う本音が見え隠れしつつもあったが。
——————“R・S部隊”本部。
「安川夏苗、安川光。任務終了しました」
暫くして本部に着き夏苗は慣れた感じにインターフォンへ喋りかけた。
そして諮問認証システムに二人は手を触れると自動開閉形のドアが開く。
二人はさっさと中へと入り仲間の下へと向かう。