ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Blue cross   ( No.29 )
日時: 2010/10/31 19:55
名前: 浅葱 ◆jnintUZIrM (ID: m26sMeyj)
参照: http://PCが変わったので名前も変えてみました← 十六夜です

04 神を崇めよ、そして称えよ

コンコン。
夏苗が心の中で呟いてから少しして扉からノックの音が聞こえた。恐らく“R・S部隊”の誰かであろう。
アネスはこれまた表情を変えず、沈黙していると扉の外に居る者はそれを肯定の意味と受け取り、「失礼します」と言う声と共に扉を静かに開けた。


「“異教者”の奴が本部に来ていたので早々に追い返してきた……」


そう言い、やって来たのは蒼崎來華。愛称はらいちゃん。紫色の長髪と青色の瞳の持ち主。
そして愛用の武器らしい木刀を腰に着けている。
アネスは少し目を伏せると「そうか……了解した」と言い自分のデスクへと座った。

“異教者”
それは“吸血鬼”の現れ始めた2040年から徐々に増え始めた“吸血鬼”を神として崇める者達の事を指す。
2040年。まだ“R・S部隊”が出来ていない時代に様々な国家が“吸血鬼”に襲われ壊滅危機に陥る。
そんな中、恐れを成したのかあるいは元々おかしかったのか僅かな人々が“吸血鬼”を崇め始めたのだ。

最初は動揺から起こりうる物だとして人々はその者達を放置していた。
しかし“吸血鬼”の増殖に伴い“吸血鬼”を崇める者は徐々に増え、ついにその者達は“異教者”と呼ばれ、しばしば“R・S部隊”の悩みの種になっている。
そう、何しろ“吸血鬼”を崇める者達にとっては“R・S部隊”はそれこそ異教者なのだから。

そして今回は本部に押しかけてきた“異教者”を來華が追い返した、とでも言う所なのだろう。
夏苗はふぅ、と溜息を着いた。


「大変だね……どっちが異教集団なんだか」


夏苗は思わずそう呟くと來華は「あぁ……」と神妙に頷いた。アネスもどうやらそれには同意らしい。
……結局のところ“異教者”とは単に“吸血鬼”に媚を売り、護摩をすっているだけの事なのだ。
「神を崇めよ!」と言ったところで本心はそう思っていない者だってけして少なくは無いのだろう。


「人間同士で争えば、結局のところ奴らの思う壺と言うのにな」


來華は今夏苗が真っ先に思った事を口にした。
……ここまで言えば分かるかもしれないが“R・S部隊”は“異教者”をあまり良くは思っていない。
それも当然と言えば当然なのだろうけれど。


「そう言えば言い忘れていたが、もうすぐ次の任務のミーティングがあるそうだ」


二人は突然やって来た任務に少し驚きつつも頷き、來華と共に応接間を出てミーティングルームへと向かう事になった。かなりハードワークな仕事だと思う。
……まぁ、それは重々承知だけど。と夏苗は一人納得しながらまたも苦笑する。





正しいのがどちらかなのかは、全く知らないが。