ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Blue cross 再度オリキャラ募集中です ( No.38 )
- 日時: 2010/11/02 19:28
- 名前: 浅葱 ◆jnintUZIrM (ID: m26sMeyj)
- 参照: http://PCが変わったので名前も変えてみました← 十六夜です
06 陽光の十字架
「お〜早いねぇ♪ さっき呼んだばっかなのに」
彩はそう言い急いでミーティングルームへとやって来た夏苗、アネス、來華の3人に笑顔を向けた。
この3人の前ではその笑顔は恐ろしく不似合いと言うべきか、怒りたくなると言うのか。夏苗は溜息を着く。まぁ、隊長らしいと言えば隊長らしいし。
そして彩の横に居た餡子は夏苗達に任務の資料らしきファイルを渡した。
他にも何枚か持っている事から、自分達以外の何人かも任務に参加する事が夏苗には分かった。
そして資料に軽く目を通すと思わず口をあんぐりと開け、唖然としそうになる。
「……隊長、この陽光の十字架とは……?」
「あぁ、それね。ちょっと前から餡子が調べていてくれたんだけど“吸血鬼”と“人狼”を完全に途絶えさせられる手立てって所かな」
彩はひらひらと手を動かしながら資料の写真を指差した。そう、この写真こそが夏苗の驚きの元だった。
何かの殻から出てきた金色に光る十字架が写真に大きく載り、その下には無数の“吸血鬼”の死骸がある。
この写真を本物と信じてよいのなら、この十字架は少なくとも“吸血鬼”を滅ぼす力がある事が分かる。
……いや、餡子が調べたと言うのならこの写真は百パーセント本物だと言う事なのだろう。
「こいつを見つければ、“吸血鬼”を途絶えさせられると言う話か」
アネスはそう言い、難しそうな顔で写真を見ていた。
……多分、見つける事の方を考えているのだろう。夏苗はそんなアネスを見つつとりあえず資料に目を戻す。任務の内容が此処まで来ると良く分かった。
その十字架を見つけろ、と言う所だろう。
そう思い資料を見ると任務内容は夏苗の予想を裏切る事無く書かれてあった。
「……で、見つけろって事はかなり見つけにくいって事ですよね?」
「あはは、そうそう。勘が鋭いと話しやすいね」
彩は気楽そうにそう言い笑う。ある意味この状況で笑っていられる方が凄いと夏苗は思ったが放っておく事にした。仮にも彼女は自分の上司だ。
……かなりの長期任務にでもなりそうだな。夏苗は任務に見解をして疲労を想像しかけたが、止めた。
ここで疲れていてもしょうがないのだろう。
「過去に“吸血鬼”のハーフさんがこれを封印しちゃってね……その写真の殻みたいなのが結構分散していて、沢山の偽物を作ったんだって。それで、もう双葉とレンと光は捜索に向かっているわけ」
ここまでを一息で言い彩はふぅ、と息を吐いた。良くある話と言えばそうだが簡単に代物は見つからない。
しかも様々な所に偽物があると言うのなら、尚更だろう。
……“吸血鬼”のハーフが居たと言うのもさらに衝撃的だったし。
「了解した。……ところで、そいつは?」
來華は特に溜息などを着く事は無く資料を手に持ち直すと彩の方へと向き直り不思議そうな顔をした。
そいつ、つまり彩の左側に居る少女の事である。
……第一印象は、そう、大人っぽいと言うか何歳なのか分からない。
紫色の毛先を少し巻いているロングヘアにパッチリとした二重に長いまつげの青い瞳。色白で良いスタイル。そして何歳かを分からせないかなり高い背。
顔も美人で、かなり大人っぽい。
「あぁ、この子? 新しい“R・S部隊”のメンバーの夜月 彩佳ちゃんだよ♪ 任務にも参加するよー」
「夜月 彩佳です…。12歳ですが、よろしくお願いします」
……12歳!? 本人の口から出た年齢に思わず驚きつつも夏苗はとりあえず微笑みを返しておく。
大人っぽかったので自分と同年齢辺りかと思っていたので衝撃よりは驚きが大きい。素直に驚いた。
「まっ、とりあえずうちは餡子と後から行くから彩ちゃんも含めて先に行っててね〜」
彩はそう言い、ひらひらと手を振った。けれど夏苗の頭の中は既に陽光の十字架についての推測でいっぱいいっぱいだったので手を振り返す余裕すら無かった。