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Re: Blue cross  再度オリキャラ募集中です ( No.54 )
日時: 2010/11/04 21:47
名前: 浅葱 ◆jnintUZIrM (ID: m26sMeyj)

07 夜の闇は刹那に溶ける

「R・S部隊の奴ら、動いたっぽいぜ」


ハニーブロンドのショートヘアがさらりと揺れて一人の青年が苦笑しながら窓を見ている。
暗い闇の中とでも言えそうな部屋の中。電灯が全くついていないせいで見えるものが窓だけだった。
そんな雰囲気の部屋に恐らく彼を含め3、4人の人間らしき人影が見える。


「面倒な事になったな……」


闇に同化しそうな長い黒髪に綺麗な紅色の瞳の持ち主が、それに答えた。どうやら仲間らしい。
彼の姿が良く見えたのは体中にある無数のアクセサリーのお陰なのだろう。


「チッ……まーた戦わねぇといけないのかよ」


面倒くさそうに呟いた銀髪にこれまた赤い瞳の青年は暗闇からでも分かる鋭い犬歯で唇を噛む。
そして通常の人間より遥かに長く鋭い爪で頭をかきむしっていた。何故か血は出ていない。
彼の雰囲気は何処か獣じみていて、その表れか獣の唸りのような声が彼から聞こえた。


「……そうこう言うな。どうせその内戦う羽目にはなるのだから」


冷静に獣じみた青年に言葉を返したのは左目に傷らしきものがある髪の長い青年だった。
若干見える顔つきは獣じみた青年と同じくらいの年齢と言う感じで何処か大人っぽい。
そして全員それぞれ呟くとハニーブロンドの髪の青年がふぅ、と溜息を着いて三人の方へと向き直る。


「とりあえず俺らも何か行動を起こさないとな……ギル、お前ちょっとあいつらの同行探ってくれない?」


ギル、と呼ばれた銀髪の青年は机に足を組んでいるらしく組んでいる足を解くと手をあごに添える。
そして考え込んでいるのか黙っているとガバッと起き上がりハニーブロンドの青年の方を向いた。
青年は驚いた様子は全く無く平然としているとギルはニヤッと笑い話す。


「良いぜ? 丁度暇だったしな……それに長であるライトの頼みを断る馬鹿は居ねぇだろ」


ライト、と呼ばれたハニーブロンドの青年はあはは、と笑うと苦笑している表情を見せた。
どうやらギルの発言を聞く限り、ライトと言う青年はこの4人の中のリーダー格らしい。
そしてライトは後の2人の青年の方を見てまた口を開いた。


「じゃあ凶は人狼一族の方から情報収集を頼めるか? それで純は引き続き民間人消しを頼む」


「了解した……」
「むぅ……人殺しは嫌いなのだが、私を殺そうとするのであれば仕方あるまい」


凶と呼ばれた青年は特に反応をせず、純と呼ばれた青年は少し渋りながらそれを了承した。
ライトはありがとう、と言いまた微笑むと少し歩き3人の前に立つ。それは何処か迫力のある物だった。
そして3人は自分の方を見ているのをライトは確認すると宣言するかの様に腕を高々と上げて話す。


「我ら吸血鬼、そして人狼一族は今日、この日を持ちR・S部隊の人間共と対立する事を誓う!!」

バサバサバサッ!!
彼が宣言をし終わったと同時に窓から無数の蝙蝠が飛び、奇妙な映像を見せる。
そして彼は宣言を終えるとマントをくるりと翻し何処かへと歩いてゆく。
残りの三人はその行動に特に反応はせずそれぞれの任務に集中し始めた。


「こりゃぁ面白くなってきたぜ……きひひひひっ」


ギルの奇妙な笑い声がその部屋に響き渡った。