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1章[ウイルスが発生致しました]


『高校生時代ですか?　そりゃ楽しかったですよー。友達だって自慢じゃないですけど、沢山居た方だと思いますし、結構頭も良かった方なんで。——ええ、間違いのないよう、一つ一つ忠実に再現してゆっくりとお話致します』


高校生時代、十七歳の春の五月三日のこと。
これが全ての始まりだったのかもしれない。


俺はパソコンを使いニコニコ掲示板を見ていた。
「—お、書きこまれてる書きこまれてる」
そしてここに書きこむ、というのが俺の日課であった。
荒らしやチェンメも居ないし非常に良い掲示板だと思う。

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123　名無しさん#34hy51　2010年10月22日16:07
そういえば最近さらに円高加速してるっぽいね。
蜜柑とかが物凄く値上がりしてる；；
全国の主婦が困ってる。

124　匿名希望#1221ba　2010年10月22日:16:09
あーそうだねぇ。
全く今の政治は何してんだか＾＾;
管直人はいつまで持つかなぁ〜??
鳩山みたく早く辞任すれば良いのにね(笑)

125　名無しさん#34hy51　2010年10月22日16:10
匿名に激しく同意、言えてるよな。
管直人は早く消えた方が良い。

こ　の　世　か　ら　笑

126　匿名希望#1221ba　2010年10月22日16:11分
ちょ(笑)
まぁ、そうだよね〜。
ま、最初から期待なんてしてないけどね……。
ほんっと消えれば良いのにね。

こ　の　世　か　ら　笑

便乗した。
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今日は随分といつもより今の政治を侮辱する言葉が並べられていた。
俺は結構今の生活で満足して——あれ。
(こんな掲示板あったっけ?)
俺が目に留まったのは関連掲示板と書いてある所にあったものだった。
≪世界滅亡——世界を救うのは貴方。クリックしたら君は勇者≫
という明らかにふざけた掲示板だった。
荒らしかと思いその掲示板をクリックすると、
〈パラッパーン!!!〉
派手なクラッカーを鳴らしたような音が響いた。

≪おめでとう!!　君は〈十五〉人目の勇者。
君のハンドルネームは〈メト〉でIDは〈10mk07〉です。
ではルール説明です≫

(ルール? って、何??)
そんな疑問を感じながらも俺はどんどんスクロールしていった。

≪①勇者が十五人集まったら管理人は世界にウイルス、いわいるピカナをばら撒きます。
※ここではウイルスのことをピカナと言います。
②ピカナがばら撒かれ、その細菌が人の肌に触れると死にます。
※ここで一回アビリティワールドに飛ばされます。
アビリティワールドとは、異世界のことです。
③そこで立ち上がるのは勇者、世界のどこかに居る勇者達と共に、我々が出すミッションをクリアすればピカナが徐々に減って行くのでピカナが全滅したらゲームクリアです。それでは頑張ってください。
※ちなみに勇者はピカナに触れても大丈夫です≫

その時の俺は展開の速さに付いていけなかった。
でも頭を整理しよう。
まず、俺は十五人目の勇者らしい。
十五人勇者が集まるとこの掲示板の管理人がピカナという細菌をばら撒き。
勇者以外の人達はピカナに触れたら死ぬ??
俺は恐怖のあまり鳥肌が立った。
だが冷静に考えて自分で自分を説得した。
…………所詮掲示板だし大して怖がることはない。


今、俺が自分で自分の思い出を語っていて、ある四字熟語が思い浮かんだ。


≪油断大敵≫——

今の俺にはぴったりの言葉だと思う。